用語解説

第1次/第2次/第3次産業
農業、林業、水産業、牧畜業を第1次産業。鉱業、製造工業、建設業を第2次産業。それ以外の産業である運輸、通信、電気、ガス、水道、商業、金融、公務、各種サービスなどを一括して第3次産業という。
第2船籍制度
本来の船舶登録制度とは別に、海外の属領や本国内に設けられた特定地域に登録することにより、自国船員の配乗要件、船舶税制、船員税制や社会保障制度などを緩和する制度。便宜置籍船に対する競争力強化をはかることにより、先進海運国の自国船維持・拡大を目指し、欧州などで普及している
大規模流し網漁業
長さ数10キロメートルの網を海中で自由に流動させ、表層魚をとる漁法で、主として、イカ、マグロなどが漁獲対象である。流し網は、海鳥やイルカ、ウミガメなども混獲することから、国際的環境保護団体の禁止運動により国連で禁止決議され、1992年末で大規模公海流し網漁業は全面禁止となった。
大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)
「大西洋マグロ類保存のための国際条約」にもとづき、1966年に設立された。スペインのマドリッドに事務所を置き、21カ国が加入しており、アイキャットと略称されている。大西洋全域のマグロ類と、マグロ漁船の漁獲魚種を対象としており、それらの資源統計情報の収集、最大持続維持生産量(MSY)の研究などを行っている。現在漁獲規制を行っている魚種はクロマグロのほか、キハダマグロの幼魚(3・2キロ未満)、メバチマグロの幼魚(3・2キロ未満)である。
大日本水産会
水産関係の会社・団体・個人を会員とし、1882年創立された。総合中央水産団体として漁業政策全般に関わっている。米国とのジョイントベンチャー事業、ソ連とのサケ・マス漁業協力、韓国との北海道沖操業をめぐる協議など国際漁業対策に取り組んでいる。
大陸棚
通常、大陸の周縁部にある水深200メートルまでの海底部分をいう。天然資源の開発についての主権が発生する。
ダウンリスティング提案
付属書Ⅰ(商業目的の国際取引禁止)から、付属書Ⅱ(国際取引には輸出国政府が発行する輸出許可が必要)への降格提案。
ダブルハルタンカー(二重構造化タンカー)
船体をおおう外板の内側に、井桁構造のブロックを張り巡らして強度を高め、座礁事故などで船底が壊れても油などが流出しないよう工夫したもの。1989年3月にアラスカ沖で座礁した「エクソン・バルディーズ」号の原油大量流出事故をきっかけに環境汚染防止の世論が高まり、IMO(国際海事機関)がタンカーのダブルハル規制の実施を決めた。93年7月6日以降、建造契約をした一定規模以上のタンカーは、すべてダブルハルを義務づけられている。
ダリルイバー
ロシア共和国極東地区ウラジオ市にある漁業関係の株式会社の名称である。従来の行政権はなく、自社漁船隊の事業、漁船燃料の補給事業を行っている民間企業体である。
団結権
労働者が労働条件と維持・改善するために団結(労働組合を組織)する権利。憲法28条は、勤労者の団結する権利および団体交渉その他の団体行動をする権利を保障している。これに基づいて労働組合法が不当労働行為制度などを通じて具体的に団結権の保護を定めている。
団体交渉権
労働者が団結して労働条件の維持・改善などのため使用者と交渉する権利。憲法28条は団体交渉権を保障しており、これをうけて労働組合法では、使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉することを正当な理由なく拒むことを不当労働行為として禁じ、労働委員会、また裁判所を通じて救済の措置を講じている。

地域別最低賃金
法律で定められた最低賃金には、地域別最低賃金と産業別最低賃金があり、それぞれ都道府県ごとに決められている。最低賃金とは、雇用形態や年齢などにかかわらず、これ以下で労働者を雇ってはならないという賃金額で、地域最賃は県ごとの最低賃金審議会で決まる。
チェック・オフ
労働組合の組合費徴収の1方法として、使用者が労働者に賃金を渡す前に、賃金から組合費を差し引き、一括して組合に渡すこと、すなわち組合費天引きのことをいう。
地球サミット(UNCED)
正式名称は「環境と開発に関する国連会議」。地球環境問題に世界の目を初めて向けさせた「国連人間環境会議」(72年6月、ストックホルムで開催)の20周年を記念して92年6月ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開かれた。約170カ国が参加して、そのうち100カ国以上の元首、首脳が出席した。会期中に採択、調印されたのは「環境と開発に関するリオ宣言、アジェンダ21、気候変動枠組み条約、生物多様性条約、および森林資源の保全と利用についての森林保全の原則声明」である。
チャータークルーズ・レジャークルーズ
クルーズ客船によるクルーズを利用形態別に見た場合、1隻の船を団体で貸し切るものをチャータークルーズ、それ以外の個人の一般利用客が利用するものをレジャークルーズという。日本籍クルーズ船の場合、1993年(平成5年)では前者が75%、後者が25%という状況である。
中央連絡協議会(本州四国連絡橋旅客船問題連絡協議会の通称)
設置目的は現地連絡協議会と同様であるが、現地協議会では協議できない対策の基本的問題、特措法の制定や政省令に関する問題を連絡協議する。特措法制定後は休眠状態となっている。海員組合副組合長・中央執行委員を始め、運輸・労働・建設・自治各省の局長・部長クラスと本四公団副総裁等が構成員となっている。
中期雇用計画
組合員の雇用安定の為に、中期的(3年)な採用計画や教育・研修計画、配乗船の確保とともに海陸職域の明示、部員の登用方針、登用計画などについて、会社と組合で協定したものをいう。
仲裁(ちゅうさい)
斡旋、調停と並んで労働争議調整方法のひとつ。 労働委員会(船員労働委員会を含む)、公労委の行う仲裁はすべて委員会方式で、事件ごとに仲裁委員会が設置されて行われる(委員会方式をとる点は調停と同じだが、仲裁委員会は3者構成でなく公益委員だけで構成される)。調停との大きな違いは、仲裁機関のくだした仲裁裁定が当事者を法的に拘束し、仲裁裁定が出れば、当事者はそれに不満でも、争議は仲裁裁定の示す線で解決されたことになってしまうという点である。そのため仲裁はすべて任意仲裁(当事者双方から仲裁の申請があった場合のように両当事者の意思に基づいて開始される仲裁)でなければならないとしている。
超高速船化
近年の国民の時間価値の高まりにともない、交通機関の高速化に対するニーズは極めて強くなっている。これに応じて旅客船分野においても高速化が進んでおり、高速旅客船(航海速力22ノット以上)の隻数は10年前に比べて約2倍となり、さらに最近ではそれより早い超高速旅客船(航海速力35ノット以上)が国内各地で就航し、1994年(平成6年)四月現在、15航路31隻が就航している。
調査捕鯨
クジラ資源の科学的な調査を目的とした捕鯨。国際捕鯨委員会(IWC)はクジラ資源保護のため1986年度かぎりで商業捕鯨を一時中止(モラトリアム)することを決定。その決定をうけ南氷洋のミンク鯨資源の調査のため、87年度から調査捕鯨を実施し南氷洋にミンク鯨が76万頭生息していることが明らかにされた。しかしながら94年5月に開催されたIWCメキシコ会議では、環境保護団体の圧力により、南氷洋は鯨類のサンクチュアリ(聖域)となったが(日本は異議申立てを行っている)、南氷洋の調査捕鯨は継続の予定である。なお94年度から新たに北西太平洋のミンク鯨の捕獲調査を始めた。ノルウェーは大西洋で93年からミンク鯨の商業捕鯨と調査捕鯨を行っている。
調停(ちょうてい)
斡旋・仲裁とともに労働争議の調整方法のひとつ。労働関係調整法にもとづき、地労委・中労委ないし船地労委・船中労委の行う労働争議の調停は、各争議ごとに3者構成の調停委員会が設けられ、これが当事者の主張を聞いて調停案をつくり、これを当事者に提示して受諾を勧告するという手続きで行われる。調停案が受諾されれば争議は一応解決されることとなり、受諾されなければ不調に終わったことになる。
チンロー
ロシア共和国極東地域ウラジオ市にある太平洋漁業海洋学研究所の名称である。支部としてカムサッカ地区、サハリン地区に設置されている。回遊する漁種の調査研究する目的を持つ研究機関であることから、中型サケ・マス漁業は、サケ・マス資源の調査のための合弁共同事業を行っている。

定期用船契約
貸渡業者が運送業者に対して船舶を貸渡して用船者のために運送行為をすることを引き受ける請負契約のことをいう。定期用船契約は、貸渡業者が所有する船舶に船員を配乗して、運送業者に一定期間貸渡す契約であり、運送業者は貸渡業者に1カ月あたりいくらという一定額の用船料を支払う。用船料の算定基準はハイヤーベースであるが、これは船舶の必要コストであり、これに基づいて用船料が決定され、運送業者はこれを受けて運賃を確保する体制が望まれるが、実際には市況に大きく左右されている。
適正船腹量
内航海運業法では、運輸大臣は内航海運業の用に供する船舶について、毎年度、その年度以降の5年間についての各年度の適正な船腹量を運輸省令で定める船種ごとに定めなければならないこととされており、油送船、セメント専用船、特殊タンク船、自動車専用船、土・砂利・石材専用船、その他の貨物船の6種類の船種について定めることになっている。これは、内航海運事業者に内航船舶建造の中長期的な指針を与え、船腹保有の過剰を抑制することが目的であり、最高限度量の設定の要否の判断基準などにされている。
テクノスーパーライナー
経済発展に伴い、大量の物資をより高速に輸送する手段が求められてきているという観点から、運輸省の指導のもとに国家プロジェクトとして平成元年から研究開発されてきた超高速貨物船。速力50ノット、貨物積載重量1000トン、航続距離500カイリ以上、波浪階級6程度でも安全航行できることを目標としている。船型は2種類あり、現在の水中翼船の原理に没水体(水上飛行機の浮体のようなもの)の浮力を加えて船体を浮上して航行する揚力式複合支持船型と、現在のホバークラフトの原理を用いた空気圧力式複合支持船型がある。両船型とも主機関はガスタービンで推進装置はウォータージェットポンプを用いる。現在は、有人の実験艇による試験航行の段階に入っている。

東京湾横断道路
東京湾のほぼ中央部を横断し、川崎~木更津間を結ぶ延長約15キロメートルの計画道路で、1997年(平成9年)3月完成予定。将来、東京湾岸道路、東京外郭環状道路とともに、東京圏の重要な幹線道路網を形成する。全延長のうち川崎側の約9・5キロはシールドトンネル、木更津側の約4・4キロは橋梁で、トンネル中央部とトンネルと橋梁の接合部に人工島が設けられる。特別立法により、日本道路公団が用地の取得や補償事務を担当し、第3セクターの東京湾横断道路株式会社が公団の設計に基づき施工業務を受け持つ。
当直限定資格
近代化船に乗り組む運航士の資格として、航海士または機関士の職務のうち当直の職務に限定して免許された資格をいう。現在は3級海技士の資格に係わる免許について限定が行われている。当直限定資格はSTCW条約の当直担当職員の要件を満たしているが、近代化船の運航士以外の船舶職員として乗り組むことはできない。
特定海洋生物資源
排他的経済水域などにおいて、採捕量や消費量が多く国民生活上あるいは漁業上重要な魚種、資源状況が悪く緊急に保存・管理を行うべき魚種ならびに、わが国周辺海域で外国船により漁獲が行われている魚種、のいずれかに該当する魚種の中で、漁獲可能量を設定するに足りるだけの科学的見地が蓄積されている魚種をいう。1997年1月に漁獲可能量制度の対象となった特定海洋生物資源は、サンマ、スケトウダラ、マアジ、マイワシ、サバ類、ズワイガニ。1998年1月よりスルメイカが追加された。
特定不況業種
昭和52年に定められた船員の雇用の促進に関する特別措置法は、当時の企業をめぐる経済事情・国際環境により、離職を余儀なくされた船員が再び船員になろうとするものに対する雇用対策として、給付金等について規定した。99年7月1日より内航海運業(タンカーを除く)が減船により、多数の船員が離職を余儀なくされるため、陸上の不況業種と同等の労働者の雇用安定に関する特別措置法の追加指定を受けた。これにより特定不況業種に関わる労働者で要件を満たすものは特定不況業種離職者手帳の発給が受けられる。また、失業保険の延長給付、職業訓練の実施、職業転換給付金が受けられることとなった。
ドコサヘキサエン酸(DHT)・エイコサペンタエン酸(EPA)
高度不飽和脂肪酸の1つであるDHTは脳の発達において重要な役割を果たすことが知られている。EPAも同様の脂肪酸で血液中の血小板凝集を抑制して血中のコレステロールや中性脂肪を低下させる作用があるといわれる。水産物、とりわけ多獲性魚は栄養食として家庭や給食などの食材として見直される風潮が強まっている。最近は食品メーカーや製薬会社で、これらの脂肪酸摘出化に熱心な企業が多くなっている。「魚を食べると頭が良くなる」は水産関係者の魚食普及の宣伝文句となっている。
とも補償
1977年(昭和52年)米・ソ両国の200カイリ水域設定にともない、北洋漁業の中核であったサケ・マス漁業、中小遠洋底曳網漁業、沖合底曳網漁業などの減船が相継いだ。減船漁業者救済のため国際漁業再編対策として、政府は救済費交付金および処理費交付金を交付することとした。しかし、減船対象漁業者および漁船を特定するにあたり、当該漁業の期待利益(ノレン代)の評価と残存漁業者の経済的負担能力が考慮され、残存漁業者の分担によって減船漁業者に対して行う漁業者間の補償金をとも補償という。
ドル・コスト化
日本の外航船社は、国際マーケットでの営業活動を中心とするため、収益はドル比率が高く、急激な円高は企業業績を悪化させることとなる。この対応策として、費用をドルに転換して行くことを指し、具体的には船舶の海外置籍と船員の外国人化、会社機構の海外移転などが考えられる。
トレモリノス条約(漁船人命安全条約)
国連の専門機関であるIMO(国際海事機関)で採択された条約で、正式には「1977年の漁船の安全に関するトレモリノス国際条約」。1977年にスペインのトレモリノスで採択されたが、漁船数の多い日本、中国、ロシア、韓国などが批准していないため、批准されず、93年トレモリノスで条約を緩和した議定書が採択された。
トレーサビリティ(食品の履歴遡及システム)
食品の生産から流通販売までの課程が、すべての段階で記録を保存し追跡できること。
トレーサビリティ・システム(生産流通履歴情報把握システム)
食品の生産から流通販売までの経過がすべての段階で記録を保存し、追跡を可能とするシステム。
トンキロベース
貨物の輸送活動をとらえる指標として、輸送トン数と輸送トンキロがある。輸送トン数は、単に輸送した貨物の重量(トン)の合計であり、輸送距離の概念を含んでいないため、必ずしも輸送活動の総量を表すものとはいえない。輸送トンキロは、輸送した貨物の重量(トン)にそれぞれ貨物の輸送距離(キロ)を乗じたものであるので、経済活動としての輸送をより適確に表す指標となる。
例えば、平成15年度の輸送機関別国内貨物輸送量のシェアをみると、トンベースでは自動車91・28%、内航海運7・77%となるのに対し、トンキロベースでは自動車57・08%、内航海運38・69%となる。
トン数標準税制
海運業の利益に課税される税金について、実際の利益ではなく運航船舶のトン数につき、あらかじめ定めた「みなし利益」に対して課税する一種の外形標準課税で、海運会社のオプションによって従来方式の法人税との選択ができる。
外航海運企業の海外流出抑止や自国籍船の確保等を目的として、欧州先進海運国や米国、韓国などで導入が進んだ。日本では、船主協会の強い要望を受け、国土交通省が平成19年度海運政策の最重要課題として導入をとりまとめ、今後、財務省はじめ関係省庁との折衝に入ることになるが、実質大幅な企業減税になることから実現までは紆余曲折が予想される。組合は、本格的な外航日本人船員の確保・育成のための施策との一体化を前提に積極的に支援する方針を示している。
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