用語解説

海運関係国際収支(IMF方式)
国際収支を世界的レベルで比較する場合、共通の基準をもって収支表を作成する必要がある。このため国際通貨基金(IMF)は加盟国に対して、IMFが制定した国際収支表マニュアルに従ってIMFに報告することを要求している。わが国では日銀が大蔵省の委任を受けて国際収支統計を作成しており、この意味から当該統計の中に記載されている海運収支(船舶運航に伴う運賃、諸経費等の受払い)をIMF方式の海運関係収支と呼ぶ。IMFマニュアルは、1948年の第1版制定以降4回の改定が行われており、最新の第5版は1993年に大幅改定されたものである。
海運技術者
1993年の第54回定期全国大会で、混迷する外航部門にあって、労働組合自らが外航日本人船員の将来像を指し示すことは重要な任務であるとの認識で、外航船員白書(仮称)の策定が決定された。白書は外航雇用対策委員会を中心に作業が進められ、95年10月に「海運技術者への新たな挑戦」として取りまとめられた。白書でいう海運技術者とは、乗船して船舶管理、運航を行うという従来の「船員」という概念から、21世紀における外航日本人船員の役割を、海上勤務で培った優秀な海技力を陸上分野でも有効に活用していくとして、この陸上勤務と海上勤務を相互に対応する者を海運技術者と位置付けている。
海外基地漁業
日本の漁船が外国の港を中継基地として操業する方式をいう。遠洋カツオ・マグロ、大中型イカ釣り、海外まき網、カニ籠漁船がこの方式で操業している。
海外漁業協力財団(OFCF)
海外の地域における水産業の開発、振興などに資する経済協力、または技術協力の事業実施に必要な資金の円滑な供給、海外派遣専門家の確保および養成を図るために必要な事業を行う財団法人で、海外漁業協力事業の促進を図ることによって海外漁場の確保や安全操業の維持につとめ、わが国の海外漁業の安定的発展に寄与することを目的としている。設立は1973年6月2日。
海外漁業船員労使協議会
海外漁業船員労使協議会(略称=海船協=かいせんきょう)は、1990年3月9日、外国人漁船船員の船員手帳(オレンジブック)の発給手続きを行うほか、外国人漁船員の国籍や氏名などの個人情報と乗船の状況等について管理する機関として設立された。
当時、外国200カイリ内の入漁条件として現地人を乗せなければならなくなったことや、日本人漁船船員が減少したため出漁ができない状況に追い込まれる船もでてきたため、海外の港を基地とする漁業に限定して、海外事業所で雇用し、外国で乗下船させるという条件付きで、船員手帳を持つ外国人漁船船員を日本漁船に受け入れることとなった。
 現在、海外まき網漁業協会、漁船船主労務協会、全国大型いかつり漁業協会、全国沖合いかつり漁業協会、全国近海かつおまぐろ漁業協会、全国漁業協同組合連合会、全国底曳網漁業連合会、大日本水産会、日本鰹鮪漁業協同組合連合会、日本トロール底魚協会、日本遠洋底曳網漁業協会、漁船同盟連絡協議会、全日本海員組合の13団体で構成。
 年2回開催する理事会、毎月1回開催する運営委員会で事業計画の決定および実施状況の確認を行っている。また、運営委員会の下に設置した漁船マルシップ管理委員会において、マルシップ移行船について、事前に労使による審査を行うとともに、関係省庁への手続きを行っている。事務局は海員組合の水産部に設置されている。
回帰率
サケ・マス類は生まれた川へ帰ってくる(母川回帰)性質をもつが、ある年生まれたサケ・マスの群が海へ下って成長し、成熟して生まれた川へ戻ってくる(回帰する)率を回帰率という。日本の川に多いシロザケの場合、4年で回帰する割合が多いところから、放流尾数と四年後の回帰尾数(漁獲尾数)で算出されている。平成五年度のサケの稚魚放流尾数は、10億4930万尾である。なお、平成4年度のサケの回帰率は平均2・3%である。
外航客船(マルシップ)
日本人船社が所有する日本籍外航客船を外国法人に裸用船で出し、これを受けた外国の用船主が配乗権を持って外国人船員を配乗している客船(海外貸渡方式)をいう。国内就航時の外国人船員の配乗問題は、官公労使による外航客船(マルシップ)混乗問題検討会の報告(91年6月)の枠組みに基づいて、現在、海外貸渡方式により外国人船員がサービス部門で配乗されている。
外航雇用対策委員会
組合規約第65条に定められた専門委員会の1つで、外航船員の雇用問題について諮問に応じるほか、自らその処理にあたることができる委員会。本委員19名・専門委員5名・参考委員1名の25名で構成。
外航日本人船員確保・育成に関する新スキーム導入のための検討調整会議
今年6月12日の労使共同の大臣申し入れの主旨をふまえ、外航日本人船員(海技者)の確保・育成に資するための施策「骨子」の完成と実施に向けた新たな検討の場として、官労使3者による「外航日本人船員確保・育成に関する新スキーム導入のための検討調整会議」が設置された。6月26日に第1回検討調整会議が開催され、組合から平山国際局長、船主協会・宇佐美副会長、海事局船員政策課・村上課長らが参画した。この新スキーム検討調整会議の下に実務レベルのW/Gが設置され、その後、(1)新スキームに対する国家助成のあり方、(2)育成要員の雇用のあり方、(3)導入研修期間の研修のあり方、(4)「育成機構」の役割と機能、など検討を進めている。
外国人承認船員
1997年5月に海運造船合理化審議会で創設された「国際船舶制度」の適用を受ける日本籍外航船舶については、従来の船舶職員法第20条特例に代わり、STCW条約にもとづく外国海技資格の承認制度を適用し、外国人船員が船機長以外の船舶職員として就業することを認めている。2003年7月時点の承認制度対象国は、フィリピン、インドネシア、インド、ベトナムならびにトルコの5カ国となっており、1189人の外国人船員が承認を受けている。
外国人の漁業研修制度
従来、日本の漁業関係者は、合弁事業などの相手国側外国人漁船船員の資質を向上させる目的で、かれらを研修生として受け入れ、座学や乗船研修させる制度を活用している。これらの研修にあたっては、国際協力事業団や海外漁業協力財団が窓口となっている。
 このような従来型の研修制度とは別に、1993年から宮崎県と高知県で自治体(町)が受け入れ機関となり国際研修協力機構(JITCO)が窓口となって、近海カツオ釣漁業に多数のフィリピン人研修生を受け入れ、テストケースとしてスタートした。1年間のモデルケースとして認められたもので、その後も継続されるかどうかは未定である。
海事クラスター
海事産業は、業種として海運、船員、造船、船用工業、港湾、港湾運送、海運仲立業、船級、船舶金融、海上保険、海事法律事務所などさまざまな分野から構成されており、主体としても産、官、学およびその連携からなる複合体、総合体である。この総合体を欧州の海運先進国では、「海事クラスター」と呼んでいる。
 海事クラスターは、個々の構成員による付加価値、雇用の創造に止まらず、構成員相互の外部効果、つながり等により、総合体としてより大きな付加価値を創造し、全体として競争力を発揮するもの。
 このような施策の総合体あるいは目標を日本では欧州の海運先進国に習い「マリタイムジャパン(海事国日本)」と呼んでいる。
 平成13年の「海事レポート」によれば、マリタイムジャパンとは、「官民一体の努力で海運、船員、造船、船用工業、港湾、港湾運送、海運仲立業、船級、船舶金融、海事法律事務所など、広義の海事産業の構造改革を推進し、一層活性化させ、シナジー効果を発揮することで日本を世界最大級の海事センターとするため一連の産業政策(概念、方針、施策など)」である。
 欧州諸国と日本の海事クラスターの領域には相違があり、日本の海事クラスターには、軍事分野や水産部門、レジャー部門が含まれていない。
海上安全船員教育審議会
運輸大臣の諮問に応じて船舶の航行の安全その他、海上保安に関する重要事項、船員教育に関する重要事項並びに水先法および船舶職員法に定める事項について調査審議する会議である。審議会は、総会の下に次の部会を設置している。船舶職員部会、教育部会、水先部会、海上安全部会の4部会で、部会の決議をもって審議会の決議とすることができることから、総会は1970年(昭和45年)10月に第1回が開催されている。総会の委員は、28名で学識経験のある者のうちから、運輸大臣が任命し、任期は2年間である。また、部会の委員、特別委員および専門委員は、総会会長が指名する。本組合からは、総会、海上安全部会、職員部会に委員として参画している。
海上ブロードバンド(海陸間の情報格差問題)
政府の高度情報通信ネットワーク社会推進本部(通称IT戦略本部)は、日本の国民が「いつでも、どこでも、何でも、誰とでも」情報の自由自在なやりとりができる、ユビキタスネットワーク社会の形成をIT社会基盤の目標像として位置付けている。これを受けて、総務省は「ブロードバンド・ゼロ地域脱出計画」を昨年2月にとりまとめ、2010年頃には日本全国どこでもブロードバンドを利用することが可能になるといわれている。こうした陸上での動きと比較して、海上でのブロードバンドの利用は極めて困難であり、それを推進する体制すら整っておらず、陸上と海上の間における情報格差が解消される見通しはまったくないのが現状である。
 船員は海上から陸上への個人的な通信も現在電話が主流であり、海上勤務期間中は情報検索、e‐ラーニングによる自己啓発、音楽・動画などの文化娯楽、ネットショッピングなど陸上のような利便性を受けられない状況にある。また、インターネット上での本人確認ができる公的個人認証サービスを受けることが可能になれば、洋上投票や海技試験受験申し込みに関わる複雑な行政手続の簡素化につながり、国民としての権利行使が容易になる。このように、船員の情報格差問題は利便性の向上のみならず、権利行使の困難さの克服という側面も持つ重要な問題でもある。
海造審(海運造船合理化審議会)
海造審は、1952年(昭和27年)にそれまでの造船業合理化審議会を改組し、運輸省設置法に基づく同省の附属機関として設置された。運輸大臣の諮問に応じて、船舶の需給計画、建造のための資金、造船・関連工業の経営近代化、適正な造船能力の策定などについて調査・審議する。審議会は海運・造船関連団体、荷主業界、金融業界(銀行)、マスコミおよび学者などから成る委員並びに専門委員で構成されている。また、審議会の下部には、海運対策部会、造船対策部会、内航部会、離島航路部会がおかれている。内航部会では毎年、向こう5カ年の適正船腹量を審議・決定している。また、今後の内航海運対策について諮問がなされ、船腹調整制度の見直しを中心とする審議が行われ答申がなされている。海運対策部会では、1984年(昭和59年)4月に出された諮問「今後の外航海運対策はいかにあるべきか」を受け、同年8月に中間答申、翌年6月最終答申を提出している。
改正JAS法
平成11年7月にJAS法が改正され、生鮮水産物については、平成12年7月1日から、「名称」、「原産地」のほか、「解凍」や「養殖」の表示が義務付けられた。また、加工食品については、平成13年4月1日から、「原材料名」や輸入品加工食品の「原産国名」等の表示が義務付けられた。
 表示義務に違反した場合は、罰則(個人の場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金。法人の場合は、1億円以下の罰金)が適用される。
改正水先法
水先人の重要性は、船舶の大型化、船舶交通の輻輳化、海洋環境保護重視により、将来にわたり一層重要となっている。一方、日本人船員の減少による水先人不足が懸念され、また、港湾の国際競争力強化の観点から、水先業務運営の効率化・適確化への要請が高まっている。 この問題を交通政策審議会で審議を行い、平成17年11月に答申がまとめられ、水先法の一部改正法案として、第164回国会で成立し、平成18年5月17日公布された。その骨子は、(1)水先人の養成・確保のための措置、(2)船舶交通の安全確保のための措置、(3)水先業務運営の効率化・適確化のための措置となっている。
 このほか、水先業務の効率性向上等を図るため、政令改正により、3大湾(東京湾、伊勢湾、大阪湾)内のベイ・ハーバー水先区が統合され、通し業務が実施される。
改定管理方式
(RMP=Revised Management Procedure)とは、IWCが1978年から実施している「国際鯨類調査10年計画」によって得られた南氷洋ミンククジラの目視観察のデータと、日本の調査捕鯨による生物学的データにもとづいて確立された、資源を増やしつつ捕獲し続けることが可能となる資源管理法。この方程式により、南氷洋ミンククジラの捕獲可能枠を計算すれば年間2000頭という答えが出た。現在の南氷洋ミンククジラの調査捕獲枠は年間400頭±10%、2003年度第2期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPNⅡ)は、沿岸域調査としてミンククジラ50頭、沖合域調査としてミンククジラ100頭、ニタリクジラ50頭、イワシクジラ50頭、マッコウクジラ10頭を捕獲予定。
改訂管理制度(RMS=Revised Management Scheme)
改定管理方式(RMP)を完全実施するために、国際監視団の乗船や取締規制などを含め、資源のモニターと操業違反の監視体制を確立して、捕獲規制が100%守られているのかをチェックするシステム。反捕鯨国の横やりで、監視取締員をどの国から選出するのか、当該費用をIWCが負担するのか、あるいは捕鯨国が負担するのか等の細目について合意に至っていないため、RMSは完成していない。
 改定管理方式(RMP=Revised Management Procedure)とは、IWCが1978年から実施している「国際鯨類調査10年計画」によって得られた南氷洋ミンククジラの目視観察のデータと、日本の調査捕鯨による生物学的データに基づいて確立された、資源を増やしつつ捕獲し続けることが可能となる資源管理法。この方程式により、南氷洋ミンククジラの捕獲可能枠を計算すれば年間2000頭という答えが出た。現在の南氷洋ミンククジラの調査捕獲枠は年間400頭±10%。2005年秋からは、ミンククジラ850頭±10%と、ナガスクジラ10頭。
 2003年度第2期北西太平洋鯨類捕獲調査(JAPINⅡ)は、沿岸域調査としてミンククジラ50頭、沖合域調査としてミンククジラ100頭、ニタリクジラ50頭、イワシクジラ100頭、マッコウクジラ10頭を捕獲。
海賊対策中間まとめ
2005年3月に発生した「韋駄天」号日本人船員拉致事件をはじめ、マラッカ海峡で連続して発生した日本関係船に対する海賊事件を踏まえ、国土交通省と海上保安庁は同4月7日、「海賊・海上武装強盗対策推進会議」(座長・安富正文国土交通審議官)を立ち上げた。
 同7月27日に3回目の会合を開き、これまで行われてきた対策の検証と今後の具体的な対応について、『2005年3月にマラッカ海峡で日本籍タグボート「韋駄天」が襲撃された事件などを検証。海賊事件などの防止には各種情報をベースにした「適切な警戒・自主警備が重要で、情報提供機能の強化が必要」、事件発生時は領海主権国の海上取り締まり能力に依存するため、「これらの国の支援要請に協力することが効果的」』など中間報告がまとめられた。
外労協(外航労務協会)
日本の大手外航海運会社で構成する船主労務団体をいう。加盟会社所属船員の労働条件などについて海員組合と労働協約を締結し、適正な労使関係を確立することを目的として、1962年10月、大手海運会社24社によって設立したが、1994年4月現在の加入会社は19社となっている。
革新荷役
貨物の積卸が本船のデリック方式で行われる貨物船を在来船といい、トレーラーやフォークにより直接船内に貨物の積込み・陸上げを行う『RO-RO船』、貨物をあらかじめコンテナに詰め、そのコンテナを搭載する『コンテナ船』および自動車を自走により積み込む『PCC(自動車専用船)』、さらに、ばら穀類・セメントなどを本船と陸上サイロ・セメントタンクをパイプでつないで送り込む『各種撤物専用船』を革新船という。在来船の荷役は、労働力主体の作業で、非能率で経済性も劣るが、革新船の荷役は、ロールオン・ロールオフ方式、陸上のガントリー・クレーンによる積卸方式、およびベルト・コンベアによる積卸方式を採用した機械力主体の作業であり、荷役作業の一サイクルの貨物の量を大量化し、荷役をスピード化するとともに省力化に寄与している。このような荷役作業を革新荷役といっている。
各ルート対策委員会
1973年(昭和48年)11月18日に決定された海員組合の本四架橋闘体制の中で、現場に密着した組織対策および対外折衝等の諸活動を進めることを目的とした「地区闘争委員会」を前身とし、1980年(昭和55年)の闘争体制改編時、本四架橋拡大闘争委員会の意見を受けて、当時、4地方支部(近畿・神戸・中国・四国)にあった地区闘争委員会をルートごとに集約し、ルート対策委員会が設置された。
ガット・ウルグアイラウンド(General Agreement on Tariffs and Trade Uruguay Round の略=関税貿易一般協定・多角的貿易交渉)
関税および貿易に関する一般協定の略。自由貿易の推進・拡大をめざして設立されたガット体制は、IMF(国際通貨基金)とともに戦後の国際経済体制を支える重要な柱であった。1986年9月、ウルグアイのプンタ・デル・エステで開始された一括交渉(ウルグアイ・ラウンド)はそれまでのガット・ルールではカバーしえなかったサービス貿易、海外投資、知的所有権なども対象に加えて行われ、1993年12月15日に最終包括協定案を採択して終結した(海運分野は、96年6月まで継続交渉)。包括協定が発効するのに伴って、ガットは発展的に解消し、機能・権限をさらに強化した世界貿易機構(WTO)が設立される運びとなっている。
カボタージュ規制
内航海運とは、(1)積地・揚地が国内の港に限られた海上輸送であること、(2)船舶は日本国籍を有し、役員全員が日本に本社を置く会社に所属する者、(3)乗組員は全員日本人であること、と法および閣議了解事項に定められている。したがって外国船で国内輸送はできない。このような自国保護政策はカボタージュ規制と呼ばれ、国家安全保障上、欧米諸国でも従来から取り入れられ堅持されている。
完全失業率
完全失業者数を労働人口で除した率のこと。わが国では、「収入を伴う仕事に一時間以上従事しなかった者のうち、就業が可能で、これを希望し、かつ求職活動をした場合」を完全失業と定義している。

機関出力1000馬力問題
一般に内航船の主機関出力は499総トン型で1800馬力、699総トン型で2000馬力程度であり、船舶職員法上も沿海区域の機関出力750キロワット(約1020馬力)以上は機関部職員2名配乗となっている。しかし機関出力750キロワット未満は機関部職員1名でよいことになっている。これを利用し内航499総トン型を中心に機関出力を1000馬力(736キロワット)未満として検査を受け、船舶職員を減じた後、実際にはこれを上回る出力で運航している実態がある。このような実態について、長期にわたり運輸省に是正を申し入れ、具体的な措置がされることとなった。
企業統治(コーポレートガバナンス)
企業統治とは、「企業経営に規律を求める仕組み、経営を監視し、その企業の本来あるべき成長や発展を実現するためのシステム」のことであり、法令順守(コンプライアンス)とともに企業価値の向上のための規律付けに不可欠な考え方である。
 経済のグローバル化・急速な技術革新の下、企業は絶え間ない競争に晒され、古いビジネスモデルに固執していてはすぐに競争力を失い、倒産、事業縮小や競合他社に吸収されるなど、従業員への影響は極めて大きい。企業は今あるものを守るだけではなく新しいビジネスモデルに取り組まなければならないが、それを通じて企業価値を守り、大きくすることが、企業統治の目的である。
  その際、企業価値を長期的かつ安定的に高めていくためには、株主価値の追求のみならず、株主以外のステークホルダー(従業員、消費者、社会など)から見た価値もバランスよく反映した経営の実現が極めて重要である。CSR(企業の社会的責任)の目的は、企業が経済的価値の他に、倫理的価値も追求することを通じて長期的にその価値を高めることにある。
企業内組合
企業または事業所別に組織された組合。組合員の資格が原則として企業の雇用者に限定されている。「企業内組合」と呼ばれ、わが国のほとんどの組合がこの形態をとっている。
企業年金制度
一般的には、企業が従業員の老後の生活保障を目的として積み立てを行う制度で「税制適格年金」「厚生年金基金」「自社年金」の3種類がある。沿海関係の旅客船部門ならびに港湾部門が平成6年度協約改定で制度設立に向けて取り組んだものは「自社年金」の1つで、掛金を労使折半とした「労使拠出型企業年金制度」である。
技術革新対策委員会(技革委)
1976年の第36回定期全国大会で「将来を展望し、雇用や船員制度にかかわる技術問題について、新たな観点から専門委員会を設置して対処する」との方針により、翌年の3月に設置された委員会で、外航局長を委員長に、執行部8名、職場委員10名の計18名で構成されている。当委員会の決定事項は船員制度近代化委員会に反映される。
基準以下船
国際条約で定められている設備、証書や資格要件等の基準を満たしていない基準以下船のことである。これらの船はポート・ステート・コントロールの対象となり、入港国のインスペクターにより、安全が確認されるまで拘留されることがある。内航においては船員法、船舶職員法、船員職業安定法、内航海運業法、船員保険法などの諸法規を違反している船舶は内航版基準以下船ともいえる。
北大西洋海産哺乳類委員会(NAMMCO)
北大西洋の地域間での協議と協力を通じて北大西洋地域の海産哺乳類(小型鯨類及びあざらし類)の保存と合理的管理及び調査研究に貢献することを目的にし、海洋生物資源の合理的管理と保存、最適利用を原則とし、1992年4月発足(7月発効)した。加盟国は、ノルウェー、アイスランド、グリーンランド、フエロー諸島。会議には日本、カナダ、デンマーク、ロシアなどがオブザーバー参加する。NAMMCO設立の経緯は、IWCの運営に抗議しIWCを脱退したアイスランドがノルウェーなどと、鯨などの海洋生物資源の合理的管理、保存、利用を目的に設立した。
ギボンズ法案
米国で審議されている法案。1990年・92年に議会に旧法案が提出され会期の関係で審議未了となったが、93年3月に再び提出された。法案は商船建造・修繕業界における公正な貿易を確保することを目的として、造船助成を行っている国が支配する船舶に対して航海数あるいは運送貨物量の制限、、罰金の課徴、米国への入域拒否等の罰則を加えることを主たる内容としている。米国造船所は建造差額補助が廃止されてから艦船の建造を専らとしていたが、国防費削減の機運の中で商船建造分野への転向を図らざるをえない状況にある。ギボンズ法案が出された背景には、こうした自国産業の事情がある。
キャットウォーク
ケーブル架設のための空中作業足場。パイロットロープ架設後、それを使って次々に太いワイヤロープに変えて行き、一定の太さになったところで物を運ぶ装置(ホーリングシステム)を取り付け、それを利用してキャットウォークを設置する。このキャットウォークが完成すると、事実上、歩いて橋を渡れることになる。
旧中小労協(旧外航中小船主労務協会)
外労協発足後、中小船主も共通に労働問題の解決にあたる必要があるとの機運が中小船主間に高まり1965年9月、会員数64社・380隻・船員数16000人で発足したが1992年1月、解散した。
教育訓練スキーム
教育訓練スキームは、平成9年5月の海運造船合理化審議会において、国際船舶制度の拡充策の一環としての日本人船員の確保・育成策としてとりまとめられたものである。
具体的には、この海造審報告を受けて、国際船舶制度推進調査委員会の下に設置された「国際船舶制度にかかわる教育訓練スキームと外国人船員に対する海技資格の付与に関する検討会」において、審議が進められている。その基本的な考え方は、商船大学や商船高専卒業の若者の船員希望者をSECOJに登録(組合案は3年、予算要求では原則2年)し、この間、財政支援等のもとで、座学および乗船実務実習(少なくとも2級免状取得)を行い、訓練修了者を外航海運全体で活用を図ることを目的としている。
強制水先同乗基準
水先法・第13条(強制水先)の中に、『水先区のうち政令で定める港又は水域において、その船舶を運航するときは、水先人を乗り込ませなければならない。』とある。理由としては、水先人が乗りこまない場合、初寄港船、海図不備船、港の事情に不慣れな船長の操船、使用言語の違いにによる運航支援システムとの交信支障等により船舶間のニアミスや不当運航が増加し、自船の安全のみならず他の船舶や港湾の安全と効率を著しく阻害することが言える。そのため長年の乗船経験を有し、港の航法等をはじめ港の事情に熟知した水先人が乗りこむ事は、船舶航行の安全面の向上、円滑な船舶交通環境を作る上で必要な要素であるといえる。強制水先対象船舶については、昭和28年水先法の一部改正があり「外国船および外航の日本船の全てが強制対象であったものを300総トン以上とし、内航船は、500総トン以上を1000総トン以上」と緩和され近年まで強制水先区において実施されてきた。しかしながら昨年7月(神戸港)・今年7月(横浜・川崎港)と船舶交通の円滑化の観点からという理由で見直しが進められてきているが、安全航行に関する対策を無視した内容であるため、現在自治体、関係民間団体において協議会を設置し安全航行に関する対策が講じられている。
魚価安定基金
魚価の安定を図るために共販体制にある水産物の調整保管事業に対して助成金の交付や貸付けを行う基金である。漁業者団体などが共販体制を確立し、魚価の低迷時に原料魚を買い入れ、必要に応じ加工のうえ、調整保管して消費地価格を配慮しながら放出する水産物調整保管事業に対する補助のための基金で、財団法人・魚価安定基金が設立されている。対象種は、多獲性魚、ノリ、ワカメ、カツオ、マグロなどが対象となっている。
漁獲可能量制度(TAC=Total Allowable Catch)
排他的経済水域内の水産資源量を科学的に測定し、その資源を減少させないことを前提に設定した漁獲量のこと。
 国連海洋法条約は、沿岸国に200カイリの排他的経済水域を設定する権利を与えるとともに、自国の排他的経済水域における生物資源の漁獲可能量を決定し、適切な保存措置および管理措置を行うことを義務づけている。わが国は「海洋生物資源の保存および管理に関する法律(通称=TAC法)」を制定し、1997年1月より、特定海洋生物資源について漁獲可能量制度を実施している。
 特定海洋生物資源とは、排他的経済水域などにおいて、採捕量や消費量が多く国民生活上あるいは漁業上重要な魚種、資源状況が悪く緊急に保存・管理を行うべき魚種ならびに、わが国周辺海域で外国船により漁獲が行われている魚種、のいずれかに該当する魚種の中で、漁獲可能量を設定するに足りるだけの科学的知見が蓄積されている魚種をいう。1997年1月に漁獲可能量制度の対象となった特定海洋生物資源は、サンマ、スケトウダラ、マアジ、マイワシ、サバ類、ズワイガニ。1998年1月よりスルメイカが追加された。
漁業就業者確保育成センター
日本の漁業は就業者の高齢化と新卒者の就業減少が進み、慢性的な労働力不足に陥っているが、こうした状況を打開しようとして、大日本水産会が中心となって設立したもの。
 センターは中央(東京)と関係都道府県に設置され、連絡協議会を開いて密接な連携を図りながら、求人・求職情報の交換、漁業PR活動、漁業就業者発掘マニュアルの作成などを行っている。
漁業無線局の統廃合
200カイリ水域定着後、漁船の減船が相継ぎ、各地の漁業無線局の加入船舶局の減少が続き、さらにインマルサット衛星通信系など技術革新によって通信システムが変革し、漁業無線局の運営が極度に悪化している。この事態を憂慮した水産庁は「将来の漁業無線局の在り方検討委員会」を設置し、平成5年~6年度の2年計画で検討。5年度は、中短波・短波漁業無線局の在り方について検討を行い、今後5年を目途に漁業無線局の広域的統廃合を実施することとし、その場合の局数は、財政面、通信量、無線従事者の配置と執務体制など総合的に検討した結果、16~30局と考察し、地域ごとに集約合併化を促進するプランである。
漁業離職者臨時措置法
正式には「国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法」といい、「漁臨法」と略称される。昭和52年12月に公布され、翌年1月から施行された。漁臨法は、日ソ漁業協定や国際捕鯨委員会の勧告などで、わが国の漁業が減船を余儀なくされたことによって、漁業離職者が一時的に多数発生するような場合が対象となる。離職者に「漁業離職者求職手帳」を交付し、就職指導や職業訓練を行うとともに、就職促進手当や訓練待機手当を支給するなど、漁業離職者の職業と生活の安定を図ることを目的としている。
漁船同盟連絡協議会
漁船同盟連絡協議会は、全国漁船労働組合同盟(略称=漁船同盟)が1997年7月31日をもってその体制を解消し、8月1日以降再編した後の名称である。
 漁船同盟連絡協議会は、各組合間の情報を交換しつつ、漁船同盟時代に引き続き、漁業労働者の経済的・社会的地位の向上をはかるために必要な事業を展開することになった。
 議長(近藤寿栄造=本組合水産局長)1人・会計監査2人を含む、14人による幹事会を設け、構成組合は、本組合のほか、宮城県漁業従業員組合・波崎漁民組合・千葉県船員組合・銚子漁船船員組合・三重県遠洋漁船船員組合・三重県船員組合・室戸遠洋漁船船員組合・室戸岬漁船船員組合・本浦船員組合・枕崎漁業労働組合の10組合であり、事務局は海員組合の水産局に設置されている。阿尾漁業船員労働組合は、平成15年5月、臨時大会を開催し解散したため同日付けで協議会から脱退した。
漁船マルシップ
日本船主が所有する自社日本籍漁船に自社が雇用する日本人幹部船員等を配乗してから海外(外国法人)へ貸し渡し、外国法人が雇用する外国人船員を配乗して乗組員編成を完了させた後、当該日本船主が定期用船(チャーターバック)した漁船をいう。
 外国人漁船船員の本邦乗員上陸を可能にする新たな制度が必要であること、国際的な漁業秩序を守らないで資源の乱獲と市場価格を崩壊させる便宜置籍船を排除し、日本国民の食料確保対策を図るうえからも、一定量の日本籍漁船は維持しなければならない。漁業者として経営が維持でき、かつ、日本人乗組員にとってもその収入で十分生活ができるような政策対応が不可欠であることから、現在、海外漁業船員労使協議会を中心として作業を進め、1998年7月31日、水産庁・運輸省の内部通達により「漁船マルシップ」がスタートした。
漁船リース事業
1、事業内容
 経営改善漁業者に対する漁船のリース事業を支援するとともに、自ら建造した場合に比べリースにより増大する費用を対象に助成する。
2、事業受付期間
 平成14年度~平成16年度予算額(初年度2800万円)リース料助成として、リース漁船取得費の18・7%を上限に金利および手数料等について助成する。
漁特法(漁業経営の改善及び再建整備に関する特別措置法=旧・漁業再建整備特別措置法)
漁業の経済的諸条件の著しい変動、漁業を取り巻く国際環境の変化等に対処するため、漁業経営の改善、漁業経営の維持が困難な中小企業者がその漁業経営の再建を図るため緊急に必要とする資金の融通の円滑化、特定の業種に係る漁業についての整備の推進等の措置を講ずることにより、効率的かつ安定的な漁業経営の育成を図ることを目的としている。
 この法律に基づき、漁業離職者への職業転換給付金などが定められている。
漁臨法
「国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法(略称=漁臨法)」は、昭和52年12月26日に公布され、昭和53年1月2日から施行された。
 漁臨法は、国際協定等の締結に伴い、わが国の漁船が減船を余儀なくされたことによって、漁業離職者が一時に多数発生するような場合に、対象となる離職者に「漁業離職者求職手帳」を交付し、就職指導や職業訓練を行うとともに、就職促進手当や訓練待機手当を支給するなど、漁業離職者の職業と生活の安定を図ることを目的としている。
緊雇対(緊急雇用対策)
1987年3月、組合は外航2船主団体との間で「外航関係緊急雇用対策」について合意した。これは長期に亘る運賃の低迷と、大幅な円高、北米コンテナの収益悪化などにより、会社経営の逼迫など、外航海運を取り巻く厳しい環境を受けて組合員の雇用が著しく不安に陥ったことから、「組合員の専属雇用体制を維持していくため」には経営の合理化は避けて通れないとの判断に立って、組合員の犠牲を最小限にとどめることを目的として取り組んだ。合意内容は、①離職船員の職場開拓を目的とした「雇用開発機構」の設置。②専属雇用体制を維持するための「本人選択による特別退職制度」の実施。③特別退職制度の実施にあたって、各社が設置した会社における「労働条件のガイドライン」の設定であった。合意にあたっては、外航海運不況の原因を海陸の経営者と従業員が一体となって取り除く努力をすることが前提条件であった。
近代化A実用船(A実用船)
第1種近代化船の認定を受け、実用化された船舶。甲板部員、機関部員を廃止して6名のDPC体制とし、3航機クラスをW/Oとした乗組員総数18名の船舶。
近代化B実用船(B実用船)
第2種近代化船の認定を受け、実用化された船舶。A段階に比べ、さらに進んだ自動化設備を備えた近代化船により、2航機士までW/O化(W/Oを3名)し、KSを2名とした乗組員総数16名の船舶。
近代化C実用船(C実用船)
第3種近代化船の認定を受け、実用化された船舶。B段階に比べ、船橋・機関制御室・無線室が同一フロアーにあり、集中監視・制御装置が当該フロアーにある。(航海当直一元化船)これらの設備により、W/OおよびDPCをそれぞれ1名減じ、乗組員総数14名の船舶。
近代化P船
船員制度近代化の過程で生じた急激な円高等により、日本人フル配乗の近代化実用船のコスト競争力は大きく損なわれたことから緊急対応として、段階的に進めてきた総合実験とは別に、さらに少数精鋭化を想定したパイオニアシップ実験がC実験と並行して87年10月、7隻により開始された。近代化委員会は、近代化の一層の推進を図るため「第3次提言」をまとめ、D実験とパイオニアシップ実験の整合を図り、平成3年7月から、32隻でP実験が開始された。近代化委員会はP実験の評価を踏まえて92年6月、急激に進行していた円高基調の中で、今後の近代化船のあり方等を中心に「第4次提言」をまとめ、P実験は11名体制へ実用化された。現在、近代化P実用船(第4種近代化船)は、8隻となっている。
近代化船の乗組基準
近代化船に乗り組ますべき船舶職員の数および資格を定めたもので、①第1種近代化船=船長、1等航海士、2等航海士、機関長、1等機関士、2等機関士、運航士(3号職務)2名、通信長、船舶技士(乗組基準外運航士を含む)6名以上。②第2種近代化船=船長、1等航海士、機関長、1等機関士、運航士(3号職務)3名、通信長、船舶技士(乗組基準外運航士を含む)6名以上。③第3種近代化船=船長、1等航海士、機関長、1等機関士、運航士(3号職務)2名、通信長、船舶技士(乗組基準外運航士を含む)5名以上。④第4種近代化船=船長、運航士(4号職務)、機関長、運航士(5号職務)、運航士(3号職務)、通信長、船舶技士(乗組基準外運航士を含む)4名以上。
近代化7原則
技術革新対策委員会が1979年3月、近代化実験に取り組むにあたり、答申のなかで明らかにした基本原則で、①安全の確認=人命、船体、積み荷の安全が確保され、環境保全に十分な配慮が払われていること。②雇用の確保=雇用が保障され、日本人船員として職域が確保されること。③労働条件の向上=労働条件の向上につながるものであること。④船員としてのやりがい=船員職業を通じて生涯の人生経験に役立ち、人間としてやりがいのあること。⑤教育・訓練の充実=技術水準の維持向上のため、十分な教育や訓練が行われること。また海陸の交流が頻繁に行われ、一般陸上水準から孤立しないこと。⑥船員の地位向上=海陸産業、水産業のなかでの船員の地位が向上すること。(新しい技術の開発、後発国の指導・教育、運航性能の向上)⑦船内生活環境の向上などとなっている。

グリーンピース
世界的な環境保護団体で、日本を含め世界30カ国にネットワークをもち450万人の会員を有している。結成は1971年で、活動内容は反核、海洋生態系保護、反有害物質、地球大気問題の4つをあげている。資金集めのために鯨類を環境保護運動のシンボルに仕立てるなど、また大西洋クロマグロをワシントン条約の対象にする運動など、科学的根拠を無視した行動も目立つ。本部はオランダのアムステルダムに置いている。89年4月東京に支部を設立。
クルーズブーム
旅の原点とも言うべき船旅そのものを楽しみながら観光地を周遊するために造られた客船をクルーズ客船といい、世界では英国のクィーンエリザベスⅡが有名。1975年、このQEⅡが日本に寄港して以来、日本でも船旅ブームとなり、特に「ふじ丸」「おせあにっくぐれいす」という豪華客船が就航した1989年は「クルーズ元年」と呼ばれ、クルーズブームが始まった。このブームにより、国内旅客船でも、単なる移動のための手段ではなく、より快適な船旅を求める旅客のニーズに応えるため、船舶の新造やリプレースに応えるため、船舶の新造やリプレース(代替船建造)が進められており、例えば長距離フェリーでは、プライバシー保護のための個室が増やされ、さらに劇場、映画室、アスレチックジム、プール、イベントホール、展望大浴場等の設備が設けられた、豪華客船も新たに登場している。
クローズド・ショップ制
会社側が労働者を雇おうとする場合には、必ず組合員を雇わねばならないし、また組合から除名された労働者は必ず解雇しなければならないという制度。
グローバル・ガーディアン・トラスト(GGT)
野生生物・魚類・森林などを保護しながら持続的に利用することを目的として、1993年4月、わが国の水産界等の有職者が中心になって設立したNGO組織である。92年の地球サミット、ワシントン条約会議、IWC会議等の場で環境保護や野生生物保護の立場から、NGO組織の活動が目立ち、事実上、国際的な影響力を行使する事態が強まっている。自然資源の持続可能で合理的利用を推進するため内外の世論を喚起し、一部の行き過ぎた環境保護団体の活動に対抗する運動の構築をめざしている。法人化の手続き中であり名称変更も検討されている。
グローバル・ネットワーク・オペレーター(Global Network Operator)
グローバル・ネットワーク・オペレーターとは、近年の物流の変化に伴い、荷主あるいはメーカー等のニーズに応え、陸海空の壁を超え総合的かつ世界的規模で原材料や部品、半製品の供給、在庫管理から製品の販売ルートにいたるまで能率的未来型のあらゆる物流・輸送を請け負う輸送業者を総称して用いられる。
 ネットワーク構築のため伝統的な物流構造・支配関係・物流慣行にかかわらず新規進出・企業買収が行われ交通運輸関係の雇用構造に大きな影響を及ぼすことから、国際的な運輸労組の団体であるITF(国際運輸労連)が新たな国際的労働運動の構築に取り組んでいる。
 グローバル・ロジスティック企業、国際ロジスティック企業、グローバル・サプライ・チェーン、グローバル・オペレーター等、企業によりさまざまな使い方がされている。
クロマグロ
マグロ類の一種で、日本周辺で漁獲されるクロマグロは、俗にホンマグロと呼ばれる。マグロの中では最も低水温海域に分布し、最も沿岸への回遊性が強いことから、高級刺身マグロとしての需要が高く、漁獲努力が集中しやすい。主な漁場は、北半球では日本周辺、英国東岸沖、地中海、欧州西岸沖などで、南半球ではミナミマグロと呼ばれる近似種が、南緯30度から40度付近に帯状に分布している。日本での市場価値がきわめて高いことから、産地から空輸で対日輸出されるケースも多い。漁獲努力が集中しやすいため、国際的な資源管理体制が強化されつつあるが、漁獲規制だけではもの足りず、絶滅に瀕している野生動物に指定しようという動きも見られる。

経済審議会
1952年(昭和27年)に設立された重要な経済政策や長期経済計画の立案、審議にあたる首相の諮問機関で、経済企画庁の付属機関となっている。学識経験者、経済界代表など30人の委員から構成されており、財政、金融、雇用、鉱工業、エネルギー、貿易、建設、交通、国民生活、総合の9部会をもっている。
経済的規制緩和
公的緩和は、その規制目的によって大きく経済的規制と社会的規制に分類できる。
 経済的規制は、市場の自由な動きに委ねておいたのでは、財・サービスの適切な供給や望ましい価格水準が確保されないおそれがある場合に、政府が個々の産業への参入者の資格や数、設備投資の種類や量、生産数量や価格等を直接規制することによって産業の健全な発展と消費者の利益を図ろうとするものである。需給規制や価格規制が該当する。経済的規制緩和を推進する立場は、従来の経済的規制には政策的意義や必要性が高いものとそうでないものが混在し、多くの場合規制に守られている事業者に既得権益をもたらし、消費者利益を損なっていると指摘する。企業活動の活性化を図り、効率的な資源配分を実現させるためには、原則自由・例外規制を基本にした、より競争的な市場メカニズムに改めるべきだという主張である。
経済同友会
1946年(昭和21年)に結成された経営者の団体。個人加入の組織で、国民経済的立場から経済問題についての財界の意見や要望を表明するのがその建則となっている。
経団連(経済団体連合会)
1946年(昭和21年)、全国商工経済会、金融団体協議会、重要産業協議会、貿易団体協議会、商工組合中央会によって設立され、1952年に再編成が行われ、部門別・業種別の経済団体からなる総合団体になった。団体と法人が会員であるが、若干の個人会員もいる。
原住民生存捕鯨
IWCの捕鯨全面禁止は商業捕鯨を対象にしている。アラスカ、および旧ソ連・チェクチ地方のエスキモーやグリーンランド人が行う捕鯨は、地域に密着した伝統的で生存に直接必要な捕獲という理由で存続が認められており、原住民生存捕鯨と呼ばれる。日本の小型沿岸捕鯨はそれに類似したものであり、しかもミンクの資源量も十分であることからIWCに対し存続を主張している。
現地連絡協議会
「本州四国連絡橋の建設に伴う旅客船問題等に関する対策の基本方針」に基づき、現地の事情に即して処理すべき問題について連絡協議することにより、旅客船事業者および従業者に対する措置等の円滑な実施に資することを目的として、各ルートごとに設置された協議会。主に、航路再編成に関する計画の策定に関する事項および旅客船事業者の事業転換、従業者の職場開拓・斡旋等が連絡協議事項となっており、海員組合地方支部長ほか地方旅客船協会長、運輸局長、関係府県副知事等が構成員となっている。

公海
沿岸国の主権が及ばない水域。沿岸国の管轄下にある排他的経済水域より外側の水域。
構造改革特区
構造改革特区は、全国一律の規制について、地域の特性等に応じて特例的な規制を適用すること、あるいは一定の規制を試行的に特定地域に限って緩和すること、さらに産業集積等地域の活性化のために、これら規制改革に加えて、それぞれの地域に応じたさまざまな支援措置を行うことと定義できる。
構造改革特区で、政府が構造改革を地域限定的・試行的に行う場合には、問題が生じなければ、それを全国的に拡大することにより、例えば、進展の遅い規制改革分野の改革に拍車をかけることができる。また、地域限定の構造改革を行うことで、地域の特性が顕在化したり特定地域に新たな産業が集積するなど、地域の活性化にもつながるとしている。
国際業務スタッフ(ISS)制度
1994年の第55回定期全国大会で「非居住特別組合員の苦情処理を中心とした業務の増加に伴い、執行部員の資質向上と執行体制の整備に努める」との活動方針の下、中央執行委員会決定により新制度が発足し、翌年7月からITFトレイニーの呼称で2人の比国人スタッフを本部に配置しスタートした。
  1997年5月、国際業務スタッフ制度として改定され、本部4人体制とした。2000年3月、国際業務スタッフ制度を改訂し、配置を本部1人、関東2人、関西2人、マニラ1人を決定し、同年10月に6人体制とした。主な業務として、非居住特別組合員への組合活動の周知および情報交換、苦情処理、英字新聞マリタイム・ジャーナルの編集、外国官庁との情報交換等を行っている。
 2004年6月中央執行委員会で国際業務スタッフへの社会保険制度の適用を決定したが、拡大する非居住特別組合員対策をより充実させるため新たな制度づくりを組織内で検討中である。
混乗管理委員会
混乗近代化船の実用化を機に、新たなマルシップ混乗船および混乗近代化実用船の労使間で審査する機関として1994年4月に設置された。
混乗船
2カ国以上の船員が乗り組んでいる船舶をいう。日本船ではコスト削減のため混乗化が進み、日本人船員とフィリピン、インドネシア、ベトナムなど、東南アジア船員との混乗船が大半を占めており、日本人船員だけで運航している日本船はLNG船など、ごく少数になっている。
港運同盟(全日本港湾運輸労働組合同盟の略)
港運同盟は1978年(昭和62年)11月に結成され、目的は「綱領、決議の実現をはかり、組合員の団結と相互援助によって、労働条件の維持改善と福祉の増進をはかり、組合員の経済的、社会的地位の向上を期することを目的とする。」となっている。この機構は、九州地本・近畿地本・兵庫地本・関東地本・北海道地本の5地本(37単組)で構成されている。役員体制は、会長1名、会長代行1名、副会長4名、中央執行委員8名、事務局長1名、会計監査2名であり、組織員数は3224名(平成9年5月全国主要労働組合名簿による)である。港運同盟は全国港湾(全国港湾労働組合協議会)とともに、社団法人日本港運協会との交渉・協定・確認書・覚書などの締結当事者である。
航海当直一元化船
船橋、機関制御室、無線室が同一フロアーにあり、航海当直に係わる集中監視、制御装置が当該フロアーに設置されている船をいう。近代化C実用船の設備要件の1つ。
公団共有船
政府出資により設立された特殊法人である船舶整備公団との共有船をいう。船舶整備公団は、旅客船・内航船・近海船の建造融資、海運秩序維持に大きな役割を果たしてきた。
港荷労協
毎年の春闘で、専業労使の統一交渉が行われるが、使用者側の船経協(船内部会経営者協議会)に対し、労働組合側の地位にあるのが、全国港湾・港運同盟傘下の港荷労協(船内荷役事業関係労働組合協議会)である。『港荷労協』の構成メンバー(1993年3月現在)は、東京『(全国港湾日港労連)7組合、(港運同盟関東地本)7組合』・川崎『(全国港湾日港労連)3組合、(港運同盟)1組合』・横浜『(全国港湾日港労連)11組合、(港運同盟)1組合、船内共闘1組合』・大阪『(港運同盟近畿地本)1組合』・神戸『(全国港湾日港労連)11組合、(港運同盟兵庫地本)5組合、船内労協1組合』であり、船内・沿岸荷役関係労働組合49組合で構成されている。
合弁共同事業有償方式
200カイリ時代に入り、漁場、漁獲量を確保するため、外国との政府間交渉で、相互の漁船の入域操業を認める漁業協定を締結しているが、一方的に沿岸国200カイリ水域に入域し操業する場合(中型サケ・マス漁業など)に合弁共同事業有償方式が採用される。この場合、漁場および操業期間、漁獲量が決められ、漁獲された漁獲物は、有償として決められた金額を相手側に支弁する方式である。相互入り会いの場合は、漁場、漁期、漁獲量を取り決め、魚価については無償とする方式が採用されている。
航路安定協定
北米定期航路や欧州定期航路などに代表される主要航路では、運賃同盟が形成されているが、盟外船社の台頭による競争の激化により、同盟機能が弱体化している。
このため、盟外船社を含めた協定が結ばれ航路の安定が図られている。
港湾運送事業
港湾運送事業は、荷主や船舶運航事業者の委託を受けて、港湾において海上運送に先行し、または後続して、貨物を船に積み込んだり、貨物を船から陸上げしたり、はしけ、あるいは筏運送したり、それに関連する貨物の荷捌き、受渡、検数、鑑定、検量などを行う事業である。従って、貨物を海上輸送する上で欠くことのできない重要な役割を果たしている。すなわち、港湾運送事業は海陸輸送の接点において、貨物を中継する役割を担っており、港湾がターミナルとしての機能を果たすうえで特に重要なものとなっている。このような理由から、その無統制な過当競争により港運秩序を破壊することを防止するため、港湾運送事業法により事業を免許制とし、その健全な発展と公共の福祉増進がはかられている。港湾運送事業の種類は一般港湾運送事業、船内荷役事業、はしけ運送事業、沿岸荷役事業、いかだ運送事業、検数事業、鑑定事業、検量事業の八種類と港湾運送関連事業がある。 港湾運送料金の完全収受 港湾運送料金は、港湾運送事業法第9条に基づく運輸大臣の認可が必要であり、認可にあたっては、能率的な経営の下における適正な原価を償い、かつ、適正な利潤を含むものであること、特定の利用者に対し不当な差別的扱いをしないことなどを基準に、各港ごとに認可・公示された確定料金(定まっていて変動しない意味)である。すなわち、港湾運送事業者は利用者に対し、収受した料金の割戻をしてはならない旨法第10条に定めている。しかし、実際には港湾運送事業者と荷主・船社等のユーザーとの力関係および需要構造の変動により、認可料金と実勢料金(収受料金)との間に乖離が生じる。特に、91年の料金改定時には、労働力確保のための原資を前倒し的に織込んだ形で当該料金が設定されており、完全収受ができない場合は魅力ある労働条件の整備が不可能となる。従って、日本港運協会と全国港湾・港運同盟との間に『料金完全実施特別委員会』を設置するなど、料金の完全収受に向けた取り組みを強化している。
港湾審議会
港湾法に基づく港湾の数は、1993年(平成5年)10月1日現在、特定重要港湾(外国貿易の増進上、特に重要な港湾)21・重要港湾(国の利害に重大な関係をもつ港湾)112・地方港湾(地方の輸送・開発に必要な港湾)897〈うち避難港35〉・その他56条港湾70港の合計1100港である。港湾の管理は港湾法に基づき、地方に委ねられ、新居浜港の港務局以外はすべて地方公共団体が港湾管理者となっている。港湾開発を進めるにあたっては、港湾計画の作成が必要であり、国が全国レベルでの港湾計画の基本方針と基準を示し、管理者はそれに基づいて各々の港湾計画を策定する。これらの策定にあたっては、港湾管理者は管理者の諮問機関として地方港湾審議会を、また、国においては運輸大臣の諮問機関として、港湾審議会を設け、関係各方面の意見を聞くことにしている。審議会の構成は、その目的から、学識経験者、港湾経験者、港湾関係者、関係行政機関の代表委員がメンバーとなっている。
港湾多国籍企業
港湾ターミナル等の港湾施設を所有する多国籍企業のことをいう。代表的な港湾多国籍企業として、世界的規模(全世界のコンテナの50%以上を扱う)で展開している4大GNT(グローバル・ネットワーク・ターミナル=HUTCHSON 、PSA 、P&O‐Nedlloyd、AP MOLLER‐ MAERSK)がある。
 現在、民営化に続く規制緩和により、船荷の積み下ろしから倉庫への搬出入、港湾インフラ、場合によっては土地の所有まで含むターミナル経営がこうした多国籍企業に任される傾向にある。そのため、企業間競争により港湾労働者の労働条件や労働環境が悪化し、便宜港湾の増加につながる。
コーディネーター(Coordinator)
調整・連絡者の意味。海員組合のインスペクターによる便宜置籍船対策活動を、支部、現場において補佐・支援するために、指名した執行部員をコーディネーターと呼び、1983年に発足した。
国際観光振興会(Japan National Tourist Organization/JNTOの略)
1964年(昭和39年)4月、日本観光協会法の改正により設立された特殊法人で日本の国際観光事業の推進を行う団体。主な事業は、①外国人観光客の来訪を促進するための海外観光宣伝および海外観光宣伝事務所の運営、②国内における外国人観光客のための総合観光案内所の運営、③外国人観光客を受け入れるための諸体制の整備、④国際会議、その他国際的行事の誘致、⑤国際観光に関する調査、研究および出版物の刊行、⑥日本人海外観光旅行者に対する旅行の安全に関する情報の提供、⑦通訳ガイド試験の実施などが行われている。海員組合は、日本人と混乗する外国人船員の技術力不足が指摘されるなか、フィリピン政府および国内外の海運業界の要請により客船等に乗り組む船員養成のため、1992年(平成4年)から同会を通じフィリピン人を研修生として日本に送り込んでいる。具体的には、客船のスチュワーデス養成のため日本語研修ならびにレストラン・シップでの実務研修、また、機関部要員養成のため全国各地の造船所における実務研修等がある。この研修を終えた卒業生たちは、日本の客船や商船に乗り組み、すでに実践の場で活躍している。
国際研修協力機構(JITCO)
中小企業の外国人研修生の受け入れを手助けするため、設立された財団法人で、1991年10月発足した。法務、外務、通産、労働、建設五省の共同管理である。1990年6月改正施行の入管法に関連し、法務省は同年八月、研修生の入国審査基準を緩和したが、偽装研修で不法就労させるなどトラブルが多発したことなどが設立の背景にある。おもな業務として、約600法人の会員に入国、在留手続き、研修の方法、生活指導のアドバイスなどを行っている。
国際自然保護連合(IUCN)
1948年に設立された国際的な非政府自然保護機関。61カ国、130の政府機関、400の非政府団体(NGO)が加盟している。事務局はスイスに置いている。約2000名のスペシャリストによって構成されており、6つの委員会が設けられ、全地球的な規模で自然保護、環境保全のための活動、勧告などを行っており、世界の環境保護運動をリードしている。日本からは環境庁、日本自然保護協会、世界自然保護基金日本委員会、日本野鳥の会などが加盟している。
国際水産団体連合(ICFA)
ICFAは、世界漁業国の民間水産団体をメンバーとして、1988年に創立された。現在の加盟国は9カ国で、その国の水産業を代表する民間団体がメンバーとなっている。設立の目的はメンバー団体間の情報交換、コミュニケーションの促進を図ることにより、国際漁業問題に対するICFAとしての政策を検討し、水産に関する国際会議等へのアクションをおこす。事務局はワシントンに置き、議長は現在ニュージーランドのバレット会長。メンバーは、大日本水産会、ドイツトロール船主協会、チャイナ水産協会、カナダ水産委員会、アイスランド水産委員会、韓国遠洋漁業協会、全米水産協会、ニュージーランド水産協会、ノルウェー漁業者協会。
国際船員協会
国際船員協会とは、船員の配乗管理を行う事業体で国際的視野にたち、公正にして合理的な船員配乗制度を確立することにより、加盟会社の国際競争力の強化と船員の福利の促進をはかり、もって日本海運の発展に寄与することを目的とし、関係諸法令、規則に基づき関係官庁の指導を遵守し、関係労働団体と良好な関係にあることが、この協会への加入資格となっており、1984年(昭和59年)5月に設立された。英語名では、International Mariners Management Association of Japan/IMMAJ。協会役員は会長の岡田実(ユニバーサル・マリン代表取締役社長)氏を始め理事長1名、理事5名、監査役2名および事務局長1名の構成となっている。1992年(平成4年)11月に協会と組合が外国人船員問題を解決するための労使協議機関の設置と労使関係の確立に関する協定を締結し、現在、外国人に係わる諸問題について団体交渉を行い解決を図っている。
国際船舶制度
国際船舶制度は、わが国外航海運の空洞化が90%に達し、さらに進行しつつあることを受けて、平成7年5月外航海運・船員問題懇談会報告で初めて考え方が示された。日本籍船・日本人船員の減少傾向に歯止めをかけるため、欧州海運国で行われている国際船舶登録制度を参考に、政策支援(船舶税制、船員税制、財政支援)と途上国船員の活用(国際船舶では原則船機長は日本人船員とする。その他は外国人船員の活用が可能)により、国際競争力の改善を目的としている。平成8年度予算・税制要求を運輸省は取りまとめたが、大蔵省の壁は厚く、船舶税制のわずかな前進にとどまったことから、引き続き海造審で制度の拡充に向け審議が行われ、平成9年5月実現可能な方策としてとりまとめが行われた。現在、予算措置を伴う後継者確保・育成にかかわる教育訓練スキーム、外国人船員への資格付与、日本籍船・日本人船員の確保育成および制度全体の進捗状況等のチェックのための公的機関の設置の3件について検討が行われており、今後の課題として、船員税制の実現、船舶税制の拡充等への取組みが残されている。
国際捕鯨委員会(IWC)
鯨資源の有効利用を目指して1946年に国際捕鯨協定が締結された。 この協定には現在37カ国(このうち捕鯨国は3カ国)が加入し、年に1回、国際捕鯨委員会を開催して捕鯨のあり方を定めている。93年のIWCは京都で、94年はメキシコで開催されたが、最近のIWCは原住民による捕鯨を容認する一方で、商業捕鯨や捕獲調査を全面禁止しようとする方向へ動いている。これに対し、捕鯨国側は、IWCが科学委員会の結果を評価していないことに反発しており、アイスランドは92年にIWCを脱退、ノルウェーは93年に商業捕鯨と捕獲調査を再開、日本は南氷洋での捕獲調査のほか、94年から北西太平洋でも捕獲調査を開始した。
国連海洋法条約
海洋法に関する国際連合条約(United Nations Convention on the Law of Sea の略)
この条約は、領海および接続水域・排他的経済水域・大陸棚・公海・深海底・海洋環境の保護および保全・海洋の科学的調査・紛争の解決など海洋問題一般を包括的に規律している。《領海》国家の領域を構成する部分で、領土に接する一定の幅(一般的に海岸基線から12海里)の帯状の水域。《接続水域》海岸基線から24カイリを越えない範囲で設定することができる領海の接続水域。《排他的経済水域》EEZ(Exclusive Economic Zoneの略)基線から200カイリを越えない範囲で設定することができる。沿岸国の一切の漁業および鉱物資源に対する管轄や海洋汚染規制の権限が認められる水域。《大陸棚》通常、大陸の周縁部にある水深200メートルまでの海底部分をいう。天然資源の開発についての主権が発生する。《公海》沿岸国の主権が及ばない水域。沿岸国の管轄下にある排他的経済水域より外側の水域。《深海底》排他的経済水域および大陸棚より外側の沿岸国の管轄外の海底およびその地下。
国連公海漁業協定
ストラドリング魚類資源および高度回遊性魚類資源の保存および管理に関する1982年12月10日の海洋法に関する国際連合条約の規定の実施のための協定。分布範囲が排他的経済水域の内外に存在する魚類資源(ストラドリング魚類資源)および高度回遊性魚類資源の保存管理に関して、地域漁業管理機関を通じた協力を基本とした沿岸国および漁業国が果たすべき義務について規定している。1996年12月までにわが国を含む50カ国が署名しており、30カ国が批准した後に発効する。現在、わが国も批准作業を進めている。
個船別割当方式
オリンピック方式による弊害を除去する目的で、欧州各国では、漁獲可能量を個人別または漁船別に、過去の実績によって分配する個別割当方式(IQ方式)を採用した。IQ方式を採用している国は、ノルウェー・ドイツ・イギリス・カナダなどである。しかし、この方式を採用しても漁獲競争、漁業効率が必ずしも改善されたわけでなく、かえって資源が浪費される結果も出ている。最近では、資源維持と漁業経営の安定が期待できるとして、IQを個人間で自由に売買できる譲渡可能個別割当方式(ITQ方式)を採用する国が増えている。しかし、ITQ方式でも、IQが加工部門を持つ一部の巨大資本に集中し、その巨大資本によって魚価がコントロールされた結果、市場原理を崩壊させ、漁船船員の賃金にも悪影響を及ぼしている事例もある。ITQ方式を採用している国は、アイスランド・ニュージーランド・オーストラリア・ロシアなどで、USAは一部魚種についてこの方式も採用している。
コンテナデボ
コンテナ取り扱い基地のことをいう。 個別ワーキンググループ  実験船が行う実験に関して、具体的な実験実施方案などの検討を行う作業グループ。各実験船ごとに設けられ、公・労・使によって構成されている。
御用組合
使用者に対し自主性をもたず、そのいいなりになる労働組合の蔑称。使用者の圧力を受けて非自主的組合になることを「御用化する」という。組合に使用者の利益代表者が入っていたり、会社から組合運営費をもらったりする組合は、自主性を失い御用化する危険性が大きいので、労働組合法では、このような組合を労働組合として認めないことにしている。
混乗近代化実用船
海外貸渡され、第2種近代化船および第3種近代化船の認定を受け、実用化された船舶。日本人乗組員は8~9人で、構成は船機長、1航機士、通信長のほか2・3航機クラスをW/Oとし、KW/O・DPC・KSなどの組み合わせにより、4つのパターンがある。外国人乗組員と合わせ、乗組員総数22名の船舶。
混乗近代化船の深度化実験
第108回船員制度近代化委員会で船主側から「混乗近代化船のさらなる配乗体制の見直しによる深度化」についての申し入れを受け、第102回技術革新対策委員会で検討の結果、①雇用の安定を第1義とする。②日本籍船を確保し、これまで培ってきた近代化の資格の活用によって、日本人船員の確保・育成を図る。・・ことを基本的考えとすることを確認し、深度化実験を承認した。現在、労働条件についての労使協議のほか、設備要件・要員の資格・実験計画・実験実施方案などについて関係者間で検討されている。
コンソーシアム・新アライアンスによる船舶抜港
コンテナ定期航路において、コンテナーターミナルの整備等多額の設備投資が必要であり、また、他頻度の定期的輸送サービスを提供するためには、多数のコンテナ船が必要になることから、複数船社がそれぞれの配給スペースを相互に交換するために、コンソーシアム(企業連合体)を形成され用語として使われだした。しかし、96年以降から従来のコンソーシアムから再編、異なる地域の有力船社が世界的規模で企業連合を形成し、企業間の強調体制として船主間ではアライアンスとして使われている。日本郵船ではグランドアライアンス、大阪商船三井ではグローバルアライアンスとの商号で表現されている。港湾労働団体では、コンソーシアムの再編として使っている。このように、各社によって呼び名が異なっているが船主側は、強調連合の立場でアライアンスとし労働側は、労働保障の立場から資本連合のコンソーシアムを使っているが同用語である。企業連合体が形成されることによりターミナルの設備・サービス形態にも変化が起き、従来定期航路において必ず寄港しなければならなかった航路において、計画的に寄港地を外すことが出来るようになること。
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