用語解説

内航運送
内航海運業が対象とする内航運送とは、船舶による海上における物品の運送であって、船積港および陸揚港のいずれもが本邦内にあるものをいう。船舶による運送であってもろかい舟、漁船、旅客船は対象外とされるが、はしけ、台船による運送、外航船による運送は対象となる。湖、河川のみでの運送についても準ずるものとして適用される。物品の運送では、物品の廃棄(埋立地への投棄は除く)のための運送、油送船以外の船舶による港内のみの運送、作業船がその目的のため付随的に行う運送、本船離接岸、海難救助、土木建設作業船の港内移動のための曳航・押航は内航運航としない。曳舟、押舟が、はしけ、台船、いかだ、ケーソン、起重機船、浚渫船、解撤船などを曳航・押航する場合は内航運送とされる。また、外航の2次輸送であっても船積み、陸揚げがともに本邦内であれば、保税物品であるか否かを問わず内航輸送である。
内航運送業
一般にオペレーターと称され、有償であろうと無償であろうと、反復か否かを問わず、他人の需要に応じ内航運送を引き受ける事業である。許可運送事業者は1号運送業から4号運送業まで区分され、それぞれ内航海運業法による基準船腹量を充足していなければならない。また、内航海運業法の許可基準の適切な計画および適格な能力を有することの判断基準としての自己所有船腹量基準をはじめ、使用船舶は原則3隻以上であること、船員の配乗計画が確実であることなどが行政通達により定められている。離島航路において、もっぱら生活必需物資の運送をおこなうものや、特定の者の需要に応じ、特定の航路において、特定の貨物を運送する事業については、基準船腹量の定めがない。
内航大型船輸送海運組合
大型組合と称され、外航大手海運企業系の内航運送業者が中心で、大型船、専用船が多い。1994年現在、31社、232隻、435812総トンで構成。
内航海運業
内航海運業は、内航運送業、内航運送取扱業、および内航船舶貸渡業である。内航運送業および内航船舶貸渡業については、総トン数100トン以上または長さ30メートル以上の船舶によるものは、許可を受けなければならず、それ以外の船舶によるものは届け出なければならない。内航運送取扱業については、すべて許可を受けなければならない。内航海運業の許可基準は、事業の開始が一般の需要に適合する者であること、内航運送業にあっては、使用する船舶の船腹量が運輸省令で定める船腹量をこえるものであること、業務の遂行上適切な計画を有するものであること、事業を的確に遂行する能力を有するものであることとされている。内航運送業の基準船腹量以外は、法律上は抽象的であり、具体的には行政通達により定められている。
内航海運業法
弱小乱立などを防止して業界秩序の確立をはかるための許可制を定め、船腹量を調整するために、適正船腹量の策定および最高限度量の設定や、不当な取り引きを防止するために、標準運賃、標準料金、標準貸渡料の設定に関する定めをしている。
内航海運業法における事業区分の廃止
内航海運業法は、内航海運業の健全な発展を図り、内航運送の円滑な運営に資することを目的とし、1964年に公布された。
この法律において「内航海運業」とは、内航運送業及び内航船舶貸渡業をいい、内航海運業を営む内航運送業者をオペレーター、内航船舶貸渡業者をオーナーという。
このオペレーター(運送業)とオーナー(船舶貸渡業)の事業区分を廃止することにより、全ての内航海運業者に荷主と運送契約締結ができるようになる。
内航海運暫定措置事業
昭和41年6月内航海運組合法により船腹調整事業(スクラップ・アンド・ビルド方式)が実施されたが規制緩和政策により新規参入・事業規模の拡大に支障が生じるとし、この制度は廃止された。
平成10年5月内航総連合会は、内航海運暫定措置事業を実施し、組合員が自己の所有する交付金対象船舶を解撤等する場合に解撤等交付金を交付し、交付金交付のため必要な資金は内航総連合会が金融機関から調達し、船舶建造者は、新造船の対象トン数に応じ内航総連合会に建造納付金を納付する。建造された船舶には引当資格がなく内航総連合会は船舶建造者が納付する納付金により金融機関からの借入金を返済する。
この事業は収支が相償ったときに終了することになっている。
内航活性化3法
船員法、船員職業安定法、内航海運業法それぞれの一部改正が、「海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律」として平成17年4月1日施行された。船員法改正の概要は、(1)労働時間規制の見直し、(2)雇入契約の届出制、(3)運航労務管理官の監督権限の強化と申告制度であり、社会的規制強化による安全運航の確保が目的。
船員職業安定法改正の概要は、(1)常用雇用型船員派遣事業の制度化、(2)無料船員職業紹介事業の拡充を行い、海上労働力の適性かつ円滑な移動の実現であり、若年船員の雇用拡大が目的。
内航海運業法改正の概要は、(1)参入要件の緩和(許可制→登録制)、(2)事業区分の廃止(オーナーも直接荷主との運送契約が可能)、(3)適正船腹量・最高限度量制度および標準運賃・貸渡料規制の廃止であり、一方、安全確保のための社会的規制の整備(事後チェック体制の強化)を行うとしている。
内航船舶貸渡業
一般的には、オーナー又は船主と称され、内航運送に使用する船舶の貸渡しをする事業である。許可の基準としては、100総トン以上の船舶を3隻、または合計して900総トンもしくは1800重量トン以上の船舶を所有することが義務づけられていることをはじめ、貸渡先運送業者との間に3年以上の定期用船など安定した契約があることや、船員の配乗計画が確実であること、他人の船舶の貸渡しを受け、これを他人にまた貸しするものでないことなどがある。
内部留保
企業の決算報告をみると、「利益」とは別に内部留保金といわれる多くの積み立て金制度がある。たとえば、利益準備金、資本準備金、退職引き当て金などの名目で莫大な金額が積み立てられている。この中には税の優遇措置の対象もある。
ナショナル・センター(労働中央団体)
わが国の労働組合の全国中央組織をいう。加盟組合間の利害の調整をはかり、統一要求の作成、調査・教育・宣伝活動、労働争議の支援、未組織分野の組織化、各種政府・自治体機関への労働者代表としての参加、国際組織との交流を目的とする。連合(日本労働組合総連合会)はナショナル・センターである。
南極海洋生物資源保存委員会(CCAMLR)
南極海洋生物資源保存条約に基づき1982年設立。対象水域は南緯60度以南、並びに南緯60度と南極収束線との水域で、対象魚種は鳥類も含むすべての種類の生物が対象である。機能は、南極海洋生物資源および海洋生態系に関する調査・研究の促進、採捕対象種またはこれに関係のある種の分布、豊度および生産性にかかわる要素に関する資料の取りまとめ、採捕可能量、禁止時期、禁止漁区、保護種の設定など必要なすべての生存措置の作成を行う。加入国は日本、ニュージーランド、アルゼンチン、オーストラリア、米国など27カ国が加盟している。所在地はオーストラリアのホバート。

20条特例許可
船舶職員法第20条に基づき、同法施行令で定める乗組基準によらないことを運輸大臣が許可することをいい、近代化の実験において乗組基準を下回る船舶職員による実験を行う際には、この特例許可を行っている。特例許可の運用にあたっては、海上安全船員教育審議会船舶職員部会20条問題小委員会(20条問題小委員会)において慎重審議される。
20条問題小委員会
船舶職員法第18条で、船舶の総トン数、推進機関の出力等に従がい、船舶職員の乗り組み基準が定められている。しかし、①当該船舶が特殊の構造または装置を有している、②航海の態様が特殊である等の一定の事由が存在し、法第18条の乗り組み基準によらなくとも航行の安全を確保することができると認められる場合には、法第20条で乗り組み基準の特例が認められている。この「乗り組み基準特例許可制度」は、海上安全船員教育審議会船舶職員部会20条問題小委員会に諮り承認を受けたものについてのみ運用許可している。最近では新マルシップ、混乗近代化船、1983年(昭和58年)以前に建造された漁船、大阪港域の200トン未満の機付はしけなどの特例が認められている。
日米防衛協力のための指針見直し
日米防衛協力のための指針(以下、ガイドラインという)は1978年に日米安全保障協議委員会でまとめられたもので、日米安全保障条約にもとづき日米間の包括的な協力態勢やわが国に武力攻撃が発生した際に日米両国が協力してとるべき措置の具体的内容・範囲等に関する基本的な事項がその中身。しかし、冷戦体制下のもとで日本に対する武力攻撃に際しての対処行動に重点が置かれ「極東有事」における日米協力については手つかずだった。1996年4月、橋本首相とクリントン大統領の首脳会談で発表された共同宣言で、日米安保体制の広域化と有事の際の協力の態勢の整備を目的に、ガイドラインの見直しの開始が合意され「極東有事」における日米協力のあり方を「周辺地域の有事」に拡張した上で具体化させることが合意された。これを受けて、日米両国政府は、1996年6月、ガイドラインの見直しを行うため、①平素から行う協議、②日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等、③日本周辺地域において発生し得る事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合の協力、について研究・協議を行った。この一連の見直し作業の中間とりまとめが、97年6月に発表され、9月末に最終とりまとめが発表された。
日韓漁業協定
1965年に韓国との間で締結された。それまで韓国は李承晩ラインを宣言し、ライン内に出漁する日本漁船の拿捕事件が頻発した。本協定によって両国は、朝鮮海峡に面するそれぞれの地先に12カイリの領海ラインを置き、さらに漁業共同水域を新たに設定して、同海域の操業隻数、時期、漁法等について取り決めを行ってきた。200カイリ規制以降も、200カイリ制をソ連のみに適用し、韓国と中国には適用していなかったが、韓国との間では新日韓漁業協定が1998年9月に締結されている。
日経連(日本経営者団体連盟)
1948年(昭和23年)、関東経営者協会を中心とした経営者団体連合会を現在の名称に改めて発足した。経団連が主として経済問題の分野で活動するのに対し、日経連は主に労働問題に関して資本家側の団結をはかり対策を練る全国的な経営者団体で、地方経営者団体と業種別経営者団体によって構成されている。
日港協
毎年の春闘における港湾中央団交で全国港湾・港運同盟の組合側に対し、業側の地位にある日港協(日本港運協会)は、事業者団体法に基づき、港湾運送事業者の任意団体として1948年に設立された。1965年に現在の社団法人に改組し、運輸大臣の認可を得て公益法人となっている。設立の目的は『港湾運送の合理化を促進することにより、港湾機能の向上に努めるとともに、港湾運送に関する秩序の確立をはかり、港湾運送事業の健全な発展に寄与すること』である。日港協は全国の港湾運送事業者を代表する団体であり、利用者団体と物流の整備革新、港湾運送の秩序維持、運賃料金などについて協議している。また、労働問題については、前記労働団体と労働条件の基本的部分・制度関係について交渉・協定の締結等を行っている。同法人の中核として、全国に13の地方港運協会がある。
日中漁業協定
1972年の日中国交回復によって、それ以前の民間漁業協定が、75年政府間協定として締結された。両国は200カイリ体制を適用していないので、この漁業協定により操業が行われている。中国領海外に軍事ラインを引くとともに、特定の海域には資源保護のために、入漁隻数、漁期、漁獲量など必要な規制が課せられている。なお日中漁業協定に基づき76年日中漁業共同委員会がスタートし、東海・黄海沿岸沖合のすべての水産資源の協定の実施状況の検討附属書修正の勧告等を行っている。資源の管理保存が大きな課題となっている。
200カイリ漁業(保存)水域
沿岸国が領海(一般に12カイリを超えて距岸200カイリまで、漁業資源に対する管轄権をも含む場合は経済水域と呼ばれる。200カイリ水域設定が世界の大勢となったのは1973年末に始まる第3次国連海洋法会議においてである。とくにアメリカが76年4月に「漁業保存管理法」を国内法として成立させてからはECや旧ソ連などの海洋先進諸国の水域設定の動きが先行し、国連海洋法条約の成立以前に、それが世界の海洋体制になってしまった。日本は77年に200カイリ漁業水域を設定したが、韓国・中国との間では水域を設定していない。
日本商船隊
日本の海運企業が現に使用している船舶の総体をいい、日本籍船、仕組船および外国用船(日本の海運企業が外国の船主から借り入れた外国船)で構成されている。現在では、日本商船隊の90%以上の船舶が仕組船と外国用船で構成されている。
日本生産性本部(JPC)
1955年(昭和30年)に設立された財団法人で、日本の生産性向上運動推進の中核機関。①技術進歩による失業の防止、②労使協力、③成果の労使および一般消費者への公正配分という「生産性3原則」をかかげている。
日本船主協会
100総トン以上の船舶所有者、賃借人、ならびに運航業者であって、日本国籍を有する者を会員とする海運業者団体をいう。1993年7月の会員は163社・所属船舶632隻・15971千総トンで、全日本商船の船腹の約68%を占めている。
日本道路公団
その通行または利用について料金を徴収することができる道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理を総合的かつ効率的に行うこと等によって、道路の整備を促進し、円滑な交通に寄与することを目的として設立された法人。
日本内航海運組合総連合会
内航海運業界は内航海運組合法に基づき、全国規模により全国海運組合連合会・全日本内航船主海運組合・内航大型船輸送海運組合・全国内航輸送海運組合・全国内航タンカー海運組合の5つの海運組合を組織している。これら5組合の総合調整機関として、日本内航海運組合総連合会(総連合会)を設けている。総連合会は内航海運組合法に基づき、運賃・用船料など取引条件の調整、船腹量の調整、共同事業、経営に関する指導斡旋、従業員の福利厚生、技能教育、労働関係事項の処理、海難防止に関する事業 などの事業を行うことになっているが、現在は保有船腹調整事業に重きを置いた活動になっている。取引条件の調整、船腹量の調整などは調整事業(カルテル行為)であり、独占禁止法の適用除外としながらも、事業実施の厳しい条件があり、実際に実施している調整事業は保有船腹調整事業だけである。
日本旅客船協会
旅客航路事業の改善発達を図ることにより、わが国の海上(河川湖沼を含む)の交通および観光の振興に資することを事業目的として1951年(昭和26年)2月6日創立。設立の趣旨に基づき、会員相互の親睦を図り、意見の交換を行うとともに、般の動向を調査研究し、常設の部会、委員会等を通じて検討し、問題の公正にして合理的な解決策を決定して、関係方面へ開陳要請し、その実現に努めている。現在会員数は687名、賛助会員46名。
担い手確保のための漁船建造等推進事業

1、事業内容
遠洋マグロはえ縄漁船のリースを行う団体に対し、標準型漁船の検討やリース用漁船の建造

  • ・取得等の経費を補助する。
  • ・事業実施期間
     平成14年度~平成16年度。
  • ・予算額(初年度総額2億円)

漁船建造費補助として、3隻以上の漁船リース事業を行うことを条件に、その内の1隻について建造費の3分の1を補助する。中古船取得費補助として、予算内で1隻につき取得費の3分の1を補助する。標準船検討会議費等補助としての補助率を2分の1とする。

入漁料
他者または他国が管轄する漁場に入って漁業を行うことを入漁といい、その際に見返りとして支払われる料金が入漁料である。200カイリ体制の定着に伴い、国際的入漁が非常に多くなってきている。ミナミマグロ、北洋サケ・マス漁業がその代表的なものである。 国内では漁協間、都道府県などでいろいろな形態と内容の入漁が行われているが、漁業法では特に、特定の漁業権種類に限り、かつ設定行為を前提として、漁協に入漁権を与える制度を設けている。
このページのTOPへ