書籍『海なお深く - 徴用された船員の悲劇』の発刊について

否応なく戦火に巻き込まれる若き少年海員たち。声変わりもしていない、十四、五歳の年齢だった。「右舷前方、雷跡 !」凄まじい爆発、噴きあげる水柱、船艙に流れ込む海水…。船首と船尾は空を向いて立ち、船体は折れ、船は沈んだ。そこに、少年海員たちは一人もいなかった…。軍事主義下、彼らは非人間的、消耗品なみの扱いを受けた。太平洋戦争に徴用された船員の犠牲が、どれほど多く悲惨なものだったか。もう二度と戦争は嫌だ、と説得力をもっていえる人は、戦争の犠牲者であり体験者に外ならない。戦後七〇年を過ぎたいま、徴用された船員たちの手記を公表することで、あらためて「平和」の尊さを知ってほしい。第二次世界大戦で犠牲となった船員六万余。その御霊は、海なお深く眠る…。

書籍『海なお深く - 徴用された船員の悲劇』の発刊について

私どもは、広く海に親しみ、海運や水産・港湾産業をご理解いただくための活動の一環として、この度、書籍『海なお深く - 徴用された船員の悲劇』を刊行し、一般財団法人 全日本海員福祉センターならびに全国の書店にて一般販売いたします。
 本書は、1986年に収集した太平洋戦争当時の船員の体験手記を上巻・下巻にまとめて再編集したものです。また今回、上下巻のセットには、「戦没船を記録する会」が2012年に作成したDVD版「海なお深く - 戦没船と船員の記録」を付録としております。
 戦後70年を過ぎ、戦争の悲惨さを語り継ぐ方も少なくなってきましたが、太平洋戦争では多くの船舶が撃沈され、6万人余の民間船員が戦没しました。強制的に徴用された船員のなかには、いまの中学生と同年代の14、15歳の少年たちも数多く含まれ、その生命が失われました。この痛恨の体験から、私たち船員は何よりも海の平和と安全を願うものであります。
 本書を通じ、あらためて「平和」の尊さ、大切さをご一考いただければ幸いです。

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(一財)全日本海員福祉センター
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