用語解説

リーファー
冷蔵または冷凍貨物を運搬する専用船の総称。 積荷によって保冷温度が異なるため、果物や野菜を運ぶ冷蔵運搬船、果物や鳥や肉を運ぶ冷蔵運搬船、果物や魚や肉を運ぶ冷凍・冷蔵運搬船、魚や肉を運ぶ冷凍運搬船に大別される。世界のリーファーの主要貨物は、バナナなどの果物や魚であるが、日本のリーファーは主に刺身用マグロを運搬しており、マグロの品質保持を図るため船倉内をマイナス約50度C以下に保冷するリーファーを、超低温冷凍運搬船と呼んで区別している。なお、リーファーは外航資格を持つ貨物船であり、漁獲物運搬の仲積船(漁船資格)とは分類が異なる。
リカレント休暇
社会人が仕事を一時中断して大学などの教育を受けるための休暇制度。ILOは1974年に有給教育休暇条約を採択しており、欧米では早くから導入されている。企業教育とは別で、一般教育、職業教育、組合教育など、内容は問わない。「リカレント」は英語で「循環する」という意味。
陸上支援体制(ポートヘルプ制度)
外航労働協約第83条には、「外航船が日本停泊中、乗組員が休息するため、また特定の者が過重労働にならないようにするため、会社は陸上よりヘルプまたはリリーフを送るなど、何らかの措置を講ずるよう努めなければならない」としている。特に近代化実験船においては、職員・部員合わせて7名以上の労務支援員を派遣しなければならない。陸上から支援員が乗組員の休息確保や整備作業などの援助のために船舶に派遣されることをいう。
リストラ(リストラクチャング(Restructuring)の略=企業再構築)
企業が不採算部門の業容を縮小したり切り捨てたりする一方で、将来有望な部門への拡大・伸長を図って業務の刷新・再構築を行うことをいう。最近似たような語句で、リエンジニアリングという語句がよく用いられている。両語句とも定まった定義はないが、リエンジニアリングは業務のあり方・プロセスをゼロから根本的に見直して改革することとされており、この意味ではリストラより一層徹底した業務改革の手法といえる。
離島航路整備法
離島航路事業に関する国の特別の助成措置を定めることにより、離島航路の維持および改善を図り、これによって離島地域における日常生活の安定・向上に資することを目的とした法律。今回の改正で、国の補助の算定方式の変更、地方公共団体が主体的に行う助成等に対する自治省の地方財政措置、関係都道府県ごとに国および地方公共団体の連絡協議の場を設けるなど、離島航路のあり方について地方公共団体の意向を反映できるようなものとなった。
離島航路補助
離島航路整備法に基づき、離島航路事業者に対して、航路経営によって生じる欠損について補助金を交付し、その維持を図っている。また、離島航路に就航する船舶の近代化に係る建造費用の一部を補助する制度(離島航路船舶近代化建造費補助制度)や離島航路事業用の新造船舶に係る固定資産税の軽減措置による離島航路維持対策を実施している。
離島航路補助金
離島航路整備法に基づく補助で、離島航路のうち一定の要件を備えた生活航路については国庫補助航路として指定し、国・関係地方公共団体が交付する。これまではその航路の経営により生じた欠損に対して国が75%、地方公共団体が25%相当額を交付していたが、今年度は国が事業の欠損の75%を補助する定率補助方式を改め、標準的な賃率や経費単価に基づき算定する標準化した欠損額を補助する方式を取るなどの改正が行われた。
領海
国家の領域を構成する部分で、領土に接する一定の幅(一般的に海岸基線から12カイリ)の帯状の水域。
旅客定員13名未満船
13名以上を旅客定員とする場合は、旅客定期航路事業の免許が必要だが、旅客定員12名までは貨物(定期・不定期)航路事業として運輸大臣への届出のみですむ。貨物不定期航路として運輸大臣に届けて、実際には定期まがいで就航している船舶で、特に九州地方の旅客定期航路事業者への影響が大きい。

レストランシップ・湾内クルーズ
食事やパーティーなどを楽しみながら短時間のクルージングを行う客船をレストランシップといい、東京湾や大阪湾で人気が高まっている。この中で湾内だけを走る船を湾内クルーズともいう。

ロイド船級協会
イギリスの船級協会で、世界で最初に開設された船級協会である。船級事業は、海上保険と密接な関係があり、従来は保険業者がその都度、船を調べて料率を決めていた。17世紀後半頃、イギリスではコーヒーが流行していた。あるコーヒー店(Lloyd's Coffee House)では、海運関係の人達が常連客で、海運や海上保険の情報交換の場になっていた。この店の主人(Edward Lloyd)はここに目をつけて、自ら情報を収集し、船名・所属・船長名・トン数・乗組員数・大砲の数などを記載したShip's Listを作成し、お客に提供した。この店の常連客である海上保険業者は、Corporation of Lloyd'sという組合を結成し船名録(Register of Shipping)を発行した。その後、船が増えるにつれて保険業者では船の状況判断ができなくなり、この組合は保険業者から分離独立し、現在のロイド船級協会(Lloyd's Register of Shipping)となった。船級協会は、船舶を検査し、保険・売買の基準となる等級(船級)を認定し、船名録の発行などを主要業務とする非営利団体である。
労働関係調整法
労働関係の公正な調整をはかり労働争議を予防し、または解決して、産業の平和を維持し、もって経済の興隆に寄与することを目的として制定された法律。労調法と略称される。斡旋、調停、仲裁および緊急調整の各種の調整方法を定めるほか、争議行為の制限禁止等を規定している。
労働基準法
労働者の生存権を保障するために、労働条件の最低基準を定めた労働者保護立法。労基法と略称される。
労働基本権
憲法で保障されている勤労権、団結権、団体交渉権および団体行動権(争議権)の総称。
労働協約
労働組合と使用者との間で、労働条件などについて締結される集団的協定のこと。協約の内容には、賃金、労働時間などの労働条件の基準を定める条項と、ショップ制、争議条項、平和条項など、使用者と組合間の権利義務関係を定める条項がある。
労働組合
労働者が労働生活の諸条件を維持・改善することを目的として結成する恒久的組織。労働組合法では、労働者が使用者と対等の立場を確保し、主体的・自主的に労働条件の改善、経済的地位の向上を図ることを目的として組織する団体または連合体と定義している。組合規約により組合員資格、組合運営のルールを定め、決議機関として組合大会、執行機関として執行委員会を置く。
労働三法
労働関係を規制する3つの基本法である労働組合法、労働関係調整法、労働基本法の総称である。
労働集約型産業
労働集約型産業とは、当該営業・事業運営上、人手・労働力を多く必要とする産業(業種)である。その典型的な例が接客などを主とするサービス産業である。すなわち、設備投資による機械化等による省力化が難しい分野である。港湾貨物の取り扱いを専門に行っているのが港湾運送事業であるが、港湾荷役に多くの人手・労働力を要するなど、労働集約型産業(業種)の分野に属してきた。しかし近年、大型専用船の運航に伴い、最新の荷役機械の装備・コンピュータによる高度な制御能力を備えたハイテク機械の導入などが行われ、荷役時間の短縮・船舶の運航効率が著しく向上するなど装置型産業(業種)への転換が顕著に表れている。
労働分配率
所得の分配の中で労働の受け取る分け前の割合をいう。指標には、①国民経済レベルで分配国民所得に占める雇用者所得に比率、②企業の付加価値額(売上高から原材料・動力費・減価償却費を差し引いたもの、または人件費、利子、利潤の合計)に占める賃金支払い総額の割合などがある。また、②の付加価値額の算出方法も一様ではない。従ってどのような資料により、どのような算出方法をとったかによって分配率の数値が違うし、その変動の仕方も違ってくる。
6大港
六大港とは東京港・横浜港・名古屋港・大阪港・神戸港・関門港の6つの港である。これらの港は入港船舶数・取扱貨物とも多く、物流の中枢拠点となっている。また、港湾労働法の適用も6大港に限定され、当該対象事業は一般港湾運送事業・港湾荷役事業・はしけ運送事業・いかだ運送事業の各事業で、これらの事業に従事する港湾労働者がその対象となっている。
労働組合法
①労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、②労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出すること、その他の団体行動を行うため自主的に労働組合を組織し団結することを擁護すること、③使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること、および、その手続きを助成する ことを目的とする法律。労組法と略称される。
労働委員会の救済命令
労働委員会が、労働組合などの不当労働行為救済の申し立てについて、理由があると判断した場合、これを救済するために使用者に発する命令のこと(労働組合法第27条4項)。救済命令は、使用者に対して、不当労働行為がなかったものと同じ状態に戻すのが原則(原状回復主義)であり、代表的なものとしては、団体交渉に応ずるべき旨の命令のほか、バックペイを伴う復職命令、支配介入の不作為命令などがある。
ロジスティックス
荷主企業が顧客に製品を供給する際、顧客のニーズ(数量、品質、時間など)を満足させると同時に総費用(Total Cost)を最少化させることを目的として、原材料・半製品・完成品に関わる調達・製造・輸配送・販売および情報提供など全過程を最適化させるための総合的活動のこと。
ロジスティックスは、SCM(サプライチェーンマネジメント)と似た概念だが、物流のニュアンスが強い。また、「物流」「輸送」と同義語として使われることも多いが、本来ロジスティックスは荷主企業の製造・販売活動の効率性を高めるための支援活動に着目した概念で、供給者と需要者の間におけるモノの調達・供給を中心として、製品やサービスの企画、開発、設計、製造、輸配送および廃棄までの全過程を対象とし、それらの効率化および最適化するための無駄のない企業間取引と物流の仕組みを意味する。
RORO船
ロールオン・ロールオフ船の略称。貨物をクレーンで積み込むのではなく、カーフェリーのようにトラックまたはフォークリフトなどにより、船体の1部に設けた可動橋から積み降ろしする船で、貨物を積んだトラックをそのまま運ぶものが多い。コンテナ船とともに、いわゆる雑貨輸送で量的にまとまったものを輸送するのに適しており、モーダルシフト政策からも大きな存在になってきている。
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