用語解説

A

AMOSUP(Associated Marine Officer’s and Seamen’s Union of the Philippines の略=フィリピン船舶職員部員組合)
フィリピンのITF加盟組合の1つで船員を組織している。委員長はジヨージ・オカ船長で、1994年の報告組合数は46492名となっている。
APRC(アジア・太平洋地域委員会、または総会)
総会はアジア太平洋地域のすべてのITF加盟組合が参加し、4~5年に1度開かれる。委員会は各国の代表が加盟組織の中から選ばれ、出席するもので、総会のない年に1回づつ開かれる。議長は本組合の中西組合長、地域部長は前ITF日本事務所長の和田氏である。

B

BC(Blue Certificateの略)
ITF承認協約がFOC船に適用されていることを証明する、A5版サイズの青い証明書であり、3年間の有効期間を持つ。
途中で返船、売船の際には返納しなければならない。ITF船員支援基金を拠出することも発行用件となっている。
BIAC(Business and Industry Advisory Committeeの略=経済産業諮問委員会)
OECD加盟国の経営者側の意見を反映させるために組織されている。

C

CITES(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora=絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約〔通称=ワシントン条約〕)
1975年5月1日に発効され、日本に関しては1980年11月13日に発効された。
付属書Ⅰに掲載の種については商業目的の国際取引禁止、付属書Ⅱに掲載の種については国際取引には輸出国政府が発行する輸出許可証が必要である。この条約に基づき、2年に1度、締約国会議が開催されている。

D

DAES(Dynamic Asian Economiesの略=NIESの新呼称)
台湾、香港、韓国、シンガポールなどアジアで高い経済成長を誇っている国や地域の総称。
DPC(DE)
DPCであって、原職が甲板部員である者。単にDEとする場合もある。
DPC(Dual Purpose Crewの略)
甲板部と機関部両部の当直関連業務を行う部員を表す。
DPC(ED)
DPCであって、原職が機関部員である者。単にEDとする場合もある。

E

EATA(Europe Asia Trade Agreementの略=欧州・アジア航路協定)
1992年9月、成立した航路安定化協定で、欧州航路同盟12社と盟外6社の主要船社で構成している。
排他的経済水域・EEZ=Exclusive Economic Zoneの略
基線から200カイリを越えない範囲で設定することができる。沿岸国の一切の漁業および鉱物資源に対する管轄や海洋汚染規制の権限が認められる水域。
EPA(Economic Partnership Agreement の略=経済連携協定)
EPAとは、FTAの要素に加えて、知的財産権、投資、政府調達、競争政策、中小企業協力なども対象分野に含む協定である。(FTAにもEPAと同じ要素が含まれる場合があり、厳密にFTAとEPAを区分することは難しいようだ)

F

FAO(Food and Agriculture Organization of the United Nations の略=国連食糧農業機関)
旧国際連盟の万国農業協会を引き継ぎ、1945年10月に設立された。人類の栄養および生活水準を向上し、食糧および農産物の生産、流通および農村住民の生活条件を向上し、もって拡大する世界経済に寄与し、人類を飢餓から解放することを目的としている。1995年には、過剰漁獲による漁獲量の減少を防ぎ、人口増に伴う水産物需要の増加に対応するために、「責任ある漁業のための行動規範」を採択した。
FMCの邦船3社制裁問題
FMC(米国連邦海事委員会)は、日本の港運慣行事前協議制等を問題として、邦船3社に対し制裁措置を提案してきた。内容は日本郵船、商船三井、川崎汽船の三社が米国国内の港に寄港するごとに10万ドルの課徴金を徴収するとした制裁措置であり、日本側は国際的ルールに反するものとしてその撤回を強く求めている。9月4日以降この制裁措置は発動されているが、邦船3社は、「港運慣行の問題で船社に制裁することは正当性に欠ける」として差し止めの申請を行っている。
FOC(Flag Of Convenience の略=便宜置籍船・仕組船)
フラッキング・アウトされた船のことで、船の所有権や管理者が、掲げている旗の国とは別の国にある場合、その船はFOCと呼ばれる。これは便宜上、“船籍を他国に置いた船”という意味で、実質的には外国海運企業が保有する船舶を安易に認めるパナマやリベリアなどの諸国に置籍された船舶をいい、実質的所有者の多くはアメリカ・日本・ヨーロッパ各国など、先進国の海運企業である。
FOC漁船(便宜置籍漁船)
IUU漁業活動を行う目的で、かつ、登録料や税金を逃れ、安価な労働力を使用するために、便宜的に船籍を変更した漁船のこと。
FPC(Fair Practice Committee の略=公正慣行委員会)
ITFの船員と港湾の2部会の代表で構成されるFOC問題を検討する専門機関であり、年1回開催される。この下部機関に協約に関する小委員会がある。この委員会でFOC国の指定、承認協約の決定、FOCキャンペーンのやり方などが決定される。
FR(D・E・S)(Foreign Ratings の略)
混乗近代化船に乗船する外国人部員の英文名の略号で、( )内のDは甲板部員、Eは機関部員、Sは事務部員を表す。
FTA(Free Trade Agreement の略=自由貿易協定)
物品の関税、その他の制限的な通商規則、サービス貿易等の障壁など、通商上の障壁を取り除く自由貿易地域の結成を目的とした、2国間以上の国際協定である。 地域経済統合の形態の中では、緩やかなものとされている2国間協定が多いが、NAFTA(北米自由貿易協定)等の多国間協定もある。
また、FTAには自由貿易地域(Free Trade Area)として、自由貿易協定を結んだ地域を指す場合がある。

G

GC(Green Certificateの略)
IBF承認協約がFOC船に適用されていることを証明する、A5版サイズの緑の証明書であり、3年間の有効期間を持つ。
途中で返船、売船の際には返納しなければならない。IBF船員支援基金を拠出することも発行用件となっている。
GMDSS
Global Maritime Distres and Safety System(海上における遭難および安全の世界的制度)の略称。SOLAS条約(海上人命安全条約)にもとづく人工衛星を利用した海上安全通信システムのことで、陸上の遭難救助機関が通信・救助の中心となる。1992年2月1日から段階的に導入され、1999年2月1日にはこれまでのモールス通信体制からGMDSS体制に完全移行する予定となっている。
GNP(Gross National Product の略=国民総生産)
1国経済のなかで、一定期間(多くの場合、1年間)に生産された財・サービスの生産額から、この生産のために使われた原材料や経費を差し引いたものを国民総生産(GDP=Gross Domestic Product)といい、これに海外との企業所得、財産所得および雇用者所得の受け払いを調整したものが国民総生産(GNP)である。1国の経済の大きさを計る尺度として、よく用いられる。なお、GNPから資本財の減耗分を差し引いたものがNNP(国民純生産)である。生産活動で生まれた正味の価値を測るために、さらにNNPから(間接税-補助金)を差し引いた国民所得という概念を用いることもある。

H

HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point=危害分析・重要管理点)
原材料から加工・包装・出荷に至るすべての段階で発生する可能性のある食品衛生上の問題点を検討し、その発生を防止または減少させる管理方式。

I

IBFフレームワーク協約
これまでITFスタンダードTCCと呼ばれる標準協約とITFフレームワークTCC(雛型)協約は、ITFによって独自に決定されてきたが、ITFに代表される労働者側交渉団と国際交渉団JNGが、2003年に行われた数回のIBF交渉で新協約IBFフレームワークTCCを策定した。
2006年IBFフレームワーク協約改定に向け、2005年6月6日、ローマでの第1回交渉を皮切りに、その後、2回の作業委員会を開催し、同10月5日から東京で最終交渉が行われる。その改定にもとづき地域交渉が行われ、2006年のIBF JSU/AMOSUP-IMMAJ CBA、IBF JSU-IMMAJ CAが策定される。
IBFフレームワークTCCの改定は、通常、ITF事務局が傘下の組合から提出された初期要求事項を取りまとめ、これらを参考としながらJNGとの交渉を行う。JSUの他、主要な14労組とは、AMO、AMOU、CMSG、CCUOMM、DANA、FWZ、IOMMP、MMOA、MUI、NUMAST、SINDMAR、SEBF、SMOU、SOSである。
ICFTU-APRO
ICFTU(国際自由労連、本部ベルギー)のアジア太平洋地域組織の略称である。連合などアジア太平洋地域各国の労働組合中央団体が加盟している。シンガポールに事務所を持ち、会長はインドのゴペショワール氏、書記長は日本の和泉氏で、加盟組合員数は約3000万人。
ILO港湾労働137号条約批准と港湾労働法の改正
当該137号条約は1973年6月25日に開催されたILO第58総会で『港湾における新しい荷役方法の社会的影響に関する条約』として採択された。本条約の前文では、ユニットロードシステムの採用、ロールオン・ロールオフ方式の導入に伴う機械化やオートメーション化によって、貨物移動を速め、船舶の停泊時間を短縮し、輸送費用を減少させるなどの効果をもたらしている。このような荷役の革新は、港湾労働者の雇用と労働条件に影響を与える。ゆえに、港湾労働者に対しても革新荷役の導入による利益を配分されるべきであるとしている。従って、雇用の恒常化、収入の安定化の方法等労働条件に関する措置により、港湾労働者の永続的な向上のための対策を求めている。本条約は港湾労働者にとって有益であり、1日も早い批准が望まれており、運動を展開している。批准のためには、国内法(港湾労働法)の整備が必要であるが、現在、同法の改正についての論議が中央職業安定審議会の港湾労働部会で行われている。
ILO第9号条約
1920年(大正9年)のILO第2回総会(海事)において採択された「海員に対する職業紹介所設置に関する条約」で、民間による営利を目的として海員に対する職業紹介を禁止し、国による公の無料職業紹介所の組織および維持を義務づけている。条約は1921年(大正10年)11月23日に発効しているが、日本は1年後の1922年(大正11年)に批准している。
ILO第137号条約
1973年6月に開催されたILO第58回総会で「港湾における新しい荷役方法の社会的影響に関する条約」とし採択された。本条約の前文では、ユニットロードシステム方式の採用、RORO方式導入に伴う機械化やオートメーション化によって貨物稼働を速め、船舶の停泊時間の短縮により、輸送コスト削減効果をもたらしている。このような荷役システムの革新は、港湾労働者の雇用と労働条件に影響を与える。ゆえに、港湾労働者に対しても革新荷役の導入による利益配分をされるべきであるとしている。従って、雇用の恒常化、収入安定化の方法等、労働条件の永続的な向上のための対策を求めている。本条約は港湾労働者にとって有益であり、1日も早い批准が望まれており、運動を展開している。批准のためには、国内の港湾労働法の整備が必要であるが、現在、同法の改正について論議が中央職業安定審議会の港湾労働部会で行われている。
ILO第179号条約
1996年(平成8年)のILO第84回総会(海事)において、第9号条約を改正する公営、民営の別を問わず、また有料であれ無料であれ、直接または仲介者として船員への職業あっせん又は雇用主への船員の紹介等、職業紹介事業を行うことができるとした「船員の募集及び職業紹介に関する条約」が採択された。第9号条約が採択された1920年当時と現在では船員社会も大きく変化し、アジアの船員供給国を中心とする国では、第9号条約を批准せずに有料の職業紹介事業が行われ、職に就くためにマンニング業者に相当な金を払わなければならないなど船員にとって不利な慣行が存在している。マンニング業者の不正行為から船を守らなければならないことから、政府の監督・管理のもとに船員募集機関を認め、これにより機関の活動を規制する第9号条約改正の必要性が1991年(平成3年)の合同海事委員会において決議され、今回の改正条約の採択となった。
ILO第147号条約(商船の最低基準に関する条約)
自国に入港する低い労働条件の商船に対し、改善のための措置をとる権利を定めた条約。労働条件が基準以下の場合には、苦情申し立て、証拠提出要請、検査などを行う。便宜置籍船対策の一環として採択された。
IMO(International Maritime Organization の略=国際海事機関)
前身であるIMCO(政府間海事協議機関)は、1958年に国際連合の経済社会理事会の専門機関として発足したが、その後、条約改正により1982年にIMOとして改称した。主として、海上における人命の安全、航行の能率、海洋汚染の防止に関する技術的・法律的な問題について、政府間の協力の促進、最も有効な措置の採用、条約の作成等を行う機関である。組織は総会を最高機関として、その下に理事会を設置している。理事会の下に海上安全委員会(MSC)、海洋環境保護委員会(MEPC)、法律委員会(LEG)、技術協力委員会(TC)、簡易化委員会(FAL)がある。海上安全委員会の下には、11小委員会があり、そのうちバルクケミカル小委員会(BCH)だけは、海洋環境保護委員会の下部組織でもある。
IPRC条約(International Convention on Polution Preraredness Response and Co-operation の略=1990年の油汚染に対する準備対応及び協力に関する国際条約)
船舶等による油汚染事故が発生した場合の対処のための国際協力システムを構築する条約である。船舶等に対しては油汚染事故への対応、最寄りの沿岸国への通報等を規定し、各国に対しては、事故に対応する国家システム、必要な場合は国際的な地域システムを構築し、被害国の要請に応じ協力して事故に対処するとともに、研究開発、技術援助等の国際協力を行う。またIMOは国際協力を促進するため、情報サービス、教育・訓練、技術サービス、技術援助の機能を備えることなどが盛り込まれている。
ISMコード(International Safety Management Code の略=国際安全管理コード)
船主または船舶の安全に関して責任を有する者(会社)に対し、安全管理制度の確立、陸上安全管理担当者の選定、安全運航マニュアルの作成、緊急時の対応措置、船舶および装置の維持・管理などを義務づけるとともに、会社の定める安全管理制度が同コードの要件に合致するものであるかどうかを主官庁などが確認したうえ、承認の文書を発給することなどを内容としている。
ISMコード(International Safety Management Code の略=国際安全管理コード)
ISMコードは、人的要因にかかわるソフト面での安全対策を充実・強化することにより、船舶の安全運航を実現しようとするものである。同コードの審査は、船舶の旗国(船の登録されている国)政府の責任において実施され、審査に合格した会社および船舶にはそれぞれ証書等が発給されることとなる。同コードは平成10年7月1日から全世界的に適用された。具体的には、船主に対して安全管理システム(SMS)の策定・実施、陸上担当者の選任、安全運航マニュアルの作成・船舶への備え付け、緊急事態への準備・対応手続きの確立、船舶・整備の保守手続きの確立を行わせる一方、船長に対して船内における安全管理制度の位置付け、主管庁等による安全管理システムの審査、寄港国政府の行う審査(PSC)等により、その実効性を担保しようというものである。
ITF(International Transport Worker's Federation の略=国際運輸労連)
世界で16ある国際産業別組織(ITS)の一つで、1896年に欧州の船員および、港湾の労働組合によって結成された。1993年末現在で世界の105カ国398労働組合が加盟し、組合員総数は427万人強となる。本組合は1950年1月、ITFに加盟以来、その方針に従い積極的に活動している。ITFには鉄道部会、路面運輸部会、内陸水運部会、港湾部会、船員部会、漁船員部会、民間航空部会、旅行業部会の8つの産業部課があり、本組合は港湾、船員、漁船員の各部会に属している。日本からは、12組合、45万人強が加盟している。
ITF-JSU CA
日本の会社が実質的に所有している便宜置籍船に、フィリピン人以外の外国人船員が乗り組む際、適用される労働協約で、1986年5月、ITFにより承認されたトータル・クルー・コスト(TCC)協約の1つ。1998年に改定され、ITFにより承認された。これにより、フィリピン人以外の外国人船員に適用される本組合のTCC協約は一本化された。AB船員の賃金コストは1人月額1081ドルのITFベンチマークをクリアーしている。
ITF-JSU/AMOSUP CBA(ITF-JSU/AMOSUP Collective Bargaining Agreement の略)
日本の会社が実質的に所有している便宜籍船にフィリピン人船員が乗り込む際、適用される労働協約で、1984年4月にITFにより承認されたトータル・クルー・コスト(TCC)協約の一つ。1998年1月に改定されたものが現行有効な協約で、AB船員(甲・機・司厨手クラス)の賃金コストが月額1人当たり1081ドルのITFベンチマーク(水準)をクリアしている。
ITFインスペクター
ITF(国際運輸労連)が1971年に設けた制度で、1997年11月末現在、世界の主要港に100人以上が配置されている。ITFに加盟する船員・港湾労働組合に雇用されており、入港船を訪れて、労働協約のない船に対する協約締結の推進、協約内容の点検、乗組員からの苦情処理などを行っている。日本では 1982年11月からインスペクターが配置され、多くの成果をあげている。
ITFのベンチマーク
船員の賃金コストの最低基準で、現在はAB船員(甲板手等)で1200米ドル。ITFでは、既に2001年1月1日から、1400米ドルに引き上げることが決定されているが、本年6月に開催されたITF公正慣行委員会で実施時期の延期等について、IMEC(国際海運使用者委員会)と協議することとなった。
IUU漁船(Illegal Unreported and Unregulated)
地域漁業管理機関に加盟協力していない国に船籍を置いて無秩序な操業(違法・無報告・無規制)を行う漁船。その最たる漁船がFOC漁船であるといわれている。
IWC(International Whaling Commission=国際捕鯨委員会)
ICRW(International Convention for the Regulation of Whaling=国際捕鯨取締条約)に基づき1946年に設立された。日本は1951年4月21日に加盟。加盟国は66カ国(2005年7月現在)。
条約前文には「鯨族の適当で有効な保存および増大を確保するため、捕鯨業に関する国際取締制度を設けることを希望し、かつ、鯨族の適当な保存を図って捕鯨産業の秩序ある発展を可能にする条約を締結することを決定し、以下のとおり協定した」とある。
IWC科学委員会では日本の調査結果について評価され、かつ年間捕獲可能量についても理解が得られているが、IWC本委員会においては科学的根拠も条約の趣旨も無視され、数の力で商業捕鯨モラトリアムや南大洋鯨類サンクチュアリが決められた。
わが国は、条約第8条「締約国政府は、適当と認める数の制限および他の条件に従って、自国民が科学的研究のために鯨を捕獲し、殺し、処理することを許可することができる」「母船および鯨体処理場の作業に関連する、生物学的資料の継続的な収集および分析が捕鯨業の健全で建設的な運営に不可欠であると認め、締約国政府は、この資料を得るために実行可能なすべての措置を執るものとする」との定めに基づき、捕獲調査を行っている。

J

JASREP(Japanese Ship Reporting System の略=ジャスレップ)
日本の船位通報制度のことである。米国においては船位通報制度としてアンバー(ANVER)システムを1958年から実施しており、この活用によって多くの遭難船が救助されている。また、国際的な海難救助体制の確立を目的とし、「1979年の海上における捜索および救助に関する国際条約(SAR条約)」にも、船位通報制度の設定を要請している。このような国際的動向に対応するため、海上保安庁では1985年10月1日から日本の船位通報制度(ジャスレップ)の運用を開始した。この制度は、米国のアンバーシステムと類似のシステムで、船舶から通報される情報、即ち航海計画、位置通報等の情報をもとにして、中央のコンピュータでその船舶の動静を把握していこうとする制度であるが、法律によって強制されておらず、任意の参加となっている。
JW/O(Jは Junior の略)
3等航海士・機関士レベルのワッチオフィサーを言う。

K

KS
事務部員であってF資格を有する者を表す。F資格を有しない者の記号はS。
KW/O
Kは「訓練」の頭文字を表示したもので、船橋または機関当直3級海技士(航海または機関)以上の資格を有し、船舶技士(DPC)の確認を受けている者をいう。前者はKW/O(DE)、後者はKW/O(ED)と呼称する。
KYT(Kiken Yochi Training の略=危険予知訓練)
危険予知訓練は、職場のチームワークで安全衛生を「みんなで、はやく、正しく」先取りし、ヒューマン・エラー事故を防止して災害ゼロにしようとする訓練である。危険に対する個別訓練であるともえいる。KYTの進め方として、職場の問題(テーマ)について次の4つのラウンドを踏んで話し合い、考え合い、分かり合って問題を解決する。第1ラウンド:現状把握(どんな事実があるかをつかむ)。第2ラウンド:本質追究(本質を探る)。第3ラウンド:対策樹立(対策を立てる)。第4ラウンド:目標設立(行動計画を決める)。これら危険予知の反復訓練を行うことによって、1人ひとりの安全意識の高揚を図り、作業への集中力を高めて、ヒューマン・エラー事故を防止するゼロ災害運動である。

L

LC(Letter of Certificate の略)
BCとは異なり、本組合が独自に、マルシップに乗り込む船員が組合の認める労働条件で就労していることを証明する証明書である。1年間の有効期間をもつ。
LNG(Liquefied Natural Gas の略)船
液化天然ガス運搬船のこと。

M

MARPOL条約(International Convention for the Prevention of Pollution from Ships 1973の略=1973年の船舶からの汚染防止のための国際条約)
MARINE POLLUTION の頭文字を取ってMARPOL条約と言っている。現在は、この1973年の海洋汚染防止条約に所要の修正および追加を施したうえで、MARPOL73/78条約が作成され、1983年10月2日に発効している。本文一般規定は、附属書Ⅰ.油に関する規則。附属書Ⅱ.ばら積み有害液体質に関する規則。附属書Ⅲ.包装されて輸送される有害物質に関する規則。附属書Ⅳ.糞尿に関する規則。附属書Ⅴ.ごみ等の廃物に関する規則。 など各規制対象物質ごとに5つの附属書に分けられているが、附属書Ⅳのみが未発効である。
MEPC(Maritime Environment Protection Committee の略=海洋環境保護委員会)
国際海事機関の全加盟国で構成され、船舶からの海洋汚染の防止および規制に関する事項であって、関連する国際条約の採択、改正、科学的・技術的な情報の交換、他の国際機関、地域機関との協力等に関する業務を実施する。
MHLC(Multilateral High Level Conference on the Conservation and Management of Highly Migratory Fish Stocks in the Western and Central Pacific=中部及び西部太平洋における高度回遊性魚類資源の保存管理に関する多国間ハイレベル会合)
  • 1、条約水域
    西経150度以西の太平洋水域(わが国周辺水域を含む)
  • 2、対象魚種
    カツオ、マグロ類等高度回遊性魚種(ビンナガ、クロマグロ、メバチ、カツオ、キハダ、大西洋マグロ、スマ、ミナミマグロ、ソウダガツオ、シマガツオ、カジキ類、バショウカジキ、メカジキ、シイラ、海洋性サメ)
  • 3、漁獲、転載及び運搬の許可制
    公海および他国の管轄する水域での漁獲に対する許可制の導入およびオブザーバー乗船、乗船検査の受け入れ義務。
  • 4、保存管理措置の設定
    条約発効後、予防的措置を考慮した保存管理措置を設定。当該措置の設定にあたっては条約水域内に位置する加盟国EEZに適用されている措置等を考慮。当該加盟国に対する、設定された措置と整合ある措置の適用協力義務。
  • 5、意思決定方法
    財政、手続、TAC配分等の重要事項はコンセンサス、その他の実質的事項は、委員会の4分の3の多数決(異議申し立て権なし)で、かつ、その票がFFA諸国グループ(豪、NZ、ソロモン、ミクロネシア、PNG等)およびその他のグループの2グループにおいて、それぞれ4分の3の多数決を確保していること。ただし、1~2票の不足で否決された場合には、当該採択は考慮されない。
  • 6、貿易措置等
    国際規則を順守した上での、MHLC保存管理措置に反する操業漁船の旗国に対する貿易規制の整備。
  • 7、条約発効要件
    3年後に変わる条約発効の条件(発効後3年間は、北緯20度以北の3カ国、北緯20度以南7カ国の批准で発効。3年を経た時点で条約が発効しない場合は、13カ国の批准で条約発効)
MSC(Maritime Safety Committee の略=海上安全委員会)
国際海事機関の全加盟国で構成され、その任務は、航海援助施設、船舶の構造および設備、衝突予防規則、海上における安全に関する手続き要件等、海上の安全に直接影響のある事項、他の政府間文書により委任されるものを遂行する機構となること、運輸、通信に関する他の政府機関と密接な連携関係を維持すること等である。

N

NIES(Newly Industrializing Economies の略=新興工業国・地域)
NICSともいうが、1988年サミットから中国と台湾・香港の関係への配慮から、NIESの名称が取られるようになった。70年代を通じて、発展途上国の中で急速な工業化を遂げ、GNP(国民総生産)に占める工業シェアを25~40%とほぼ先進国に近い比率にまで引き上げた国・地域であり、アジアの韓国、台湾、香港、シンガポール、中南米のアルゼンチン、メキシコ、ブラジルなどをいう。これらの国の1人当たり平均所得は現在2千~1万ドルで途上国平均をはるかに上回る。1980年代にアジアNIESは、日米多国籍企業等による技術移転、円高、アメリカの輸入経済化により、大きく輸出を伸ばし、太平洋トライアングルとよばれる日本、アメリカ、NIESの貿易の輪を拡大し、高成長を実現したが、先進国の保護主義、アメリカからの市場開放要求、国内賃金上昇、国内技術基盤の強化など新たな問題に直面している。
NPO(Nonprofit Organization = 非営利組織)
広義に解釈すると営利を目的としない民間組織はすべてNPOとよぶことができるが、非営利組織としての共通した固有の特徴をあげると次のとおりとなる。
  • 1、一般的に法律で認められた法人組織であり、個人が非公式にかつ一時的に集まったものは、その重要性にかかわらず非営利組織とはみなされない。
  • 2、政府から独立した民間組織であり、政府の統制や支配を受けないこと。
  • 3、利益を分配せず組織本来の活動目的に再投資すること。
  • 4、自らの組織を管理する機構を備えており、外部組織の管理を受けないこと。
  • 5、組織の活動において自発的意思による参加があること。
  • 6、公益の利益に寄与・貢献するもの。
NPO法人SEILA(特定非営利活動法人SEILA)
平成15年11月3日、設立総会を開催し理事長に井出本榮(海員組合組合長)、副理事長に片岡和夫(海員組合副組合長)が選出された。事務局は海員組合本部ビル内におかれている。
この法人は、全国各地で海の環境保全活動を行っている高齢者団体(現在は、全国24の船員OB会や親睦団体)や個人に対して、海洋環境保全の情報やその活動の場を提供すること、並びに高齢者が長年培ってきた経験、知識、技術等を活用して海の安全対策やその技術を次世代に伝承し、加えて高齢者の生きがいや健康維持への支援を行うことを目的としている。
活動は、特定非営利活動とその他の事業(営利事業)に分けられ、前者の活動には、(1)海の環境保全活動、(2)海上の安全確保に関する研究と講習、(3)海技の伝承に関する活動、後者の活動には、(1)停泊中の船舶および港湾施設等の保安業務、港湾等の清掃事業、(2)出版事業および物品販売事業がある。
具体的には、各地の海浜および港湾の岸壁等の環境保全(クリーンアップ)事業の実施や、海上技術学校、海技学院、海技大学校の生徒および受講生を対象にした「海事講習会」等を開催している。

O

OECD(Organization for Economic Cooperation and Developmentの略=経済協力開発機構)
西側先進国がすべて加盟しているので、先進国クラブとも言われる。主なねらいは、加盟国の協力によって経済の安定成長と貿易拡大に努め、加盟国による発展途上国援助の促進と調整をはかることにある。最高機関は理事会。下部機関には、経済政策、貿易、開発援助の3大委員会をはじめ、計35の委員会がおかれており、この中に海運委員会もある。94年4月に東京で海運委員会が開催された。関係団体としてTUECとBIACの2団体がある。
OPRT(Organization for Promotion of Responsible Tuna Fisheries∥社団法人責任あるまぐろ漁業推進機構)
機構は、平成12年12月1日、マグロ類(カツオを含む)等の保全および管理の強化を図るための措置、健全なマグロ類等市場の育成、国際的な漁業者間の協力の促進等を通じて、その持続的利用の推進を図るとともに、国際的、社会的責任に応えたマグロ類等漁業の発展に資することを目的として設立され、(1)マグロ類等の資源の適切な管理のための漁獲努力量の管理・調整(2)適切な資源管理の下で漁獲されたマグロ類等の利用の促進(3)マグロ類等の資源の管理、貿易および市場に関する調査および研究開発(4)マグロ類等の資源の適切な管理、利用に関する国際的な漁業者間の交流および協力の促進(5)その他機構の目的を達成するために必要な事業などを行うこととしている。
OSPA計画(Co-operative Project on Oil Spill Preparedness and Response in Asia の略=アジアの油汚染に対する準備及び対応に関する国際協力計画)
わが国が1990年度から実施している政府レベルの海外技術援助事業である。大規模海洋汚染問題を取り巻く国際情勢を踏まえ、アセアン海域の沿岸開発途上国に対して、わが国から積極的な技術協力等の側面的な支援を行うことによって、当該地域の関係国間の国際協力を促進し、もって大規模な海洋汚染事故(油排出事故)が発生した場合の地域内国際緊急防除体制の整備を図ることを目的としている。とりわけ、事故による影響を最小限とし、拡大を防止するため、緊急時の初動体制を整備することを最優先課題としている。

P

[P・S・C](Port State Controlの略)
船舶は、その登録をしている国による統一的な管理が、航行と通商の利益に適合し、船舶管理の実効性の面からも、国際的摩擦の回避の面からも最も効果的であることから、その管理責任を旗国に集中している。この原則は、国際法上古くから打ち立てられ、公海条約、国連海洋法条約において明確化されているほか、SOLAS条約(海上人命安全条約)、MARPOL条約(海洋汚染防止条約)、STCW条約(船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する条約)、ILOの各種条約においても旗国主義にのっとり、船舶の航行安全の確保、海洋汚染の防止、労働保護が図られている。しかし、70年代後半に入り、大型船舶の海難が増大し、また海難を起こした船舶の多くは、旗国による監督体制が不十分であるサブスタンダード船であったことから、旗国による監督だけでなく、寄港国による監督(PSC)を実施することによりサブスタンダード船を排除することの重要性が国際的に認識され、81年、国際海事機構においてPSCについての監督手続きに関する決議が採択されたことを契機に、政界的にPSCが本格的に実施されることとなった。
わが国においても、83年から船員の資格・航海当直体制にかかわるPSCを、84年から船舶の構造・設備にかかわるPSCを本格的に開始し、その後も逐次その充実強化を図っている。
PKO(Peace Keeping Operationの略=国際連合平和維持活動)
国際的な平和と安全のため行われる国際連合(国連)の活動であり、国連が世界各地における紛争の解決につき実際の慣行を通じて確立してきた活動である。わが国は世界の平和のために資金、物質だけでなく、人の面でも積極的な役割を果たしていくことが必要と考え、1992年6月、「国際連合平和維持活動などに対する協力に関する法律」(国際平和協力法)という法律を作り、わが国が国連平和維持活動に人を派遣するための制度を作った。この法に基づき、わが国はこれまでにアジア地域のカンボジア、アフリカ地域のアンゴラ共和国、モザンビーク共和国の国連平和維持活動に自衛隊員、警察官、公務員、民間人を派遣し、世界各国から高い評価を得ている。

R

RMS
Revised Management Scheme=改定管理制度とは、改定管理方式(RMP)を完全実施のために、国際監視団の乗船や取締規制などを含め、資源のモニターと操業違反の監視体制を確立して、捕獲規制が100%守られているのかをチェックするシステム。
RORO船
荷役時にクレーンを利用せず、直接船内へ車両が入れる船の総称。コンテナ船など荷役時にクレーンを使う船は「LOLO(Lift‐On/Lift‐Off Ship)船」という。
貨物船であるRORO船は、貨客船であるフェリーと異なり、船内構造を貨物航送中心にすることによって1回辺りの輸送量の増大による収益率向上が図れること、さらに現在は高速化が図られており、今やモーダルシフトをも見据えた日本の内航海運の主流になりつつある。

S

SECOJ(Seamen's Employment Center of Japanの略=財・日本船員福利雇用促進センター)
オイルショック後、わが国および国際環境の著しい変化に、1976年(昭和51年)から77年にかけて離職を余儀なくされる船員が多数発生し、再就職が容易に進まなくなってきた。深刻な雇用状況に対処するため、1977年(昭和52年)12月の第83回臨時国会で「船員の雇用の促進に関する特別措置法」(船特法)が成立し、翌年1月施行された。同法に基づき「日本船員雇用促進センター」設立準備が官労使により進められ、従来の財団法人・日本船員福利協会の事業(船員の福利厚生の増進、教養の向上)に、新たに①船員の職域拡大・開拓に関する事業、②船員の教育・訓練に関する事業、③助成金などの支給に関する事業を加えることとなり、名称を「財団法人・日本船員福利厚生雇用促進センター」と改め、1978年(昭和53年)5月29日に運輸大臣から、船特法による「船員雇用促進等事業を行う者」として指定され、同年6月1日、正式に発足した。事業内容は1.福利事業①船員に宿泊、休養、娯楽の便宜を供与するための施設の設置と運営に関する事業。②船員の教養の向上を目的とする講習会等の運営に関する事業。2.雇用促進事業①船員の職域の開拓、職業紹介および就職の奨励に関する事業。②船員の技能訓練の実施に関する事業。③船主が船員の雇用の安定を図るために行う措置に対する助成に関する事業。3.労務供給事業外国船への船員労務供給に関する事業。4.配乗調整事業①外国船へ乗船する日本人船員の乗下船の援助に関する事業。②外国の海技資格を取得する日本人船員に対する援助に関する事業。③内外の雇用情勢の調査に関する事業。
SOLAS条約(International Convention for the Safety of Life at Seaの略)
海上人命安全条約は国際海事機関(IMO)において、航海の安全、特に人命の安全を確保するために船体構造、防火構造、消防設備等の安全基準を定めた条約であり、海事関係の基本的条約として長い歴史を有している。現行の「1974年の海上における人命の安全のための国際条約」(1974SOLAS条約)は4番目に当たり、74年11月に採択され、1980年5月に発効した。その後、タンカーの安全性を強化し、「1974年SOLAS条約」を補完することを目的とした「1978年SOLAS議定書」が独立した条約として78年2月に採択され、1981年5月1日に発効した。1980年に「1974年SOLAS条約」が発効した後は、船舶に関する技術革新や安全性強化に対する社会的要請に応じた数多くの改正が採択され、発効されている。GMDSSもこのSOLAS条約で定められている。わが国においては条約の内容を取り入れた船舶安全法を制定し、船舶安全法および関係省令中にこれらの条約の内容をできるだけ詳細に取り入れて規定している。また国内法規に取り入れられない事項が生じる場合は、法第27条「船舶の堪航性および人命の安全に関し条約に別段の規定ある時は、その規定に従う」の規定により発効された条約が実施されることとなっている。
STCW条約(International Convention on Standards of Training,Cetification and Watch keeping for Seafarers 1978(1978年の船員の訓練、資格証明および当直維持の基準に関する国際条約)の略称である。)
1967年3月に英仏海峡において巨大タンカー「トリーキャニオン号」が座礁し、英仏両国沿岸に広大な範囲におよぶ海洋汚染事故を引き起こしたことがきっかけとなり、こうした事故を防ぐため船員の知識・技能・当直の実施等に関する国際的な統一基準として定められた条約である。STCW条約は、船舶の航行の安全について、旗国が第1義的な責任を有するべきであるという考え方に立ち、それに乗り組む船舶職員の知識・技能等については、旗国政府が同条約の定める要件を満たすことを義務づけている。さらに、最も特徴的なことは、自国に入港する外国船舶に乗り組む船舶職員の資格証明に係わる監督(いわゆるポート・ステート・コントロール)制度を導入したことである。また、わが国の船舶職員法も、従来の配乗主義から旗国主義に変更し、1983年(昭和58年)に大改正が行われ、今日に至っている。
改正STCW条約(International Convention Standards of Training' Cetification an Watch keeping for Seafarers' 1978の略称=1978年の船員の訓練、資格証明および当直維持の基準に関する国際条約)
改正STCW条約は1995年7月のIMO(国際海事機関)の締約国会議で採択され、1997年2月1日発効された条約である。改正の内容は、ポート・ステート・コントロールの強化や航海士に対する無線通信資格取得(GMDSS)ARPA(自動衝突予防援助措置)シミュレーター訓練の強制化等を柱とし多岐にわたっている。1978年条約では、証明書発給のための最小限の知識要件を各規制内の「付録」に規定しているのみであった。さらに、要求される能力の最低基準の統一性に欠ける部分があったが、今次改正においては、能力基準表を設けて実技能力、評価基準および評価方法を明確化している。わが国では、船員法および関係省令の改正と船舶職員法および関係省令の改正が必要なものに分けられている。
SW/O(Sは Seniorの略)
2等航海士・機関士レベルのワッチオフィサーをいう

T

漁獲可能量制度・TAC=Total Allowable Catchの略
排他的経済水域内の水産資源量を科学的に測定し、その資源を減少させないことを前提に設定した漁獲量のこと。国連海洋法条約は、沿岸国に200カイリの排他的経済水域を設定する権利を与えるとともに、自国の排他的経済水域における生物資源の漁獲可能量を決定し、適切な保存措置および管理措置を行うことを義務づけている。わが国は「海洋生物資源の保存および管理に関する法律(通称=TAC法)」を制定し、1997年1月より、特定海洋生物資源について漁獲可能量制度を実施している。
TAJIMA号事件
2002年4月7日、共栄タンカーが管理するパナマ籍タンカー「TAJIMA」号に乗船していた日本人二等航海士が台湾沖の公海上で殺害され、被疑者2人が東京高等検察庁に仮拘禁された。その後、パナマ政府からの引渡し請求に基づき、8月15日、東京高裁にて、パナマ共和国への被疑者送還が決定された。
この事件を契機に刑法改正が審議され、2003年8月、日本国外において日本国民が被害者となった場合の処罰規定を新設した刑法が施行された。
2005年5月18日、比国人被疑者2人に対する公判がパナマ第2高等裁判所で開廷され、20日深夜まで公判が行われたが、8名の陪審員は被告2人に対して無罪の評決を下し、同国では陪審の評決に対する控訴は認められないことから無罪が確定した。
組合は、パナマ政府の要請を受けて行われた日本側の取り調べ内容と、公判内容の情報を収集し、FOC船における船内秩序維持と船員の安全確保対策について、検討中である。
TSA(Trans-pacific Stabilization Agreement の略=太平洋航路安定化協定)
太平洋航路では、1980年代はじめから過当競争状態が続き、東・西航路ともに運賃水準が低迷し、各船社とも苦しい経営を余儀なくされた。ここに至り従来の同盟・運賃協定は有効に機能しないとの認識が生まれ、盟外船も加えた「航路安定化協定」を作ることになり、1989年初め東航トレードでTSAが成立した。
TSL(テクノスーパーライナー)
従来の船舶より高速航行が可能で航空機やトラックに比べ大量の貨物を積載でき、かつ航空機に比べて低廉なコストで運航できること。また性能としては、速力50ノット、貨物積載量1000トン、航続距離500海里以上、波浪階級6程度でも安全航行できることを目標とし、主機関はガスタービン、推進器はウォータージェットポンプを用いる新型式超高速貨物船。大量の物資をより高速に輸送する手段が求められているという観点から運輸省指導のもと国家プロジェクトとして平成元年に造船業大手7社が参加して発足した「テクノスーパーライナー技術研究組合」において研究開発が行われている。
TUAC(Trade Union Advisory Committeeの略=労働組合諮問委員会)
OECD加盟国の労働組合中央団体で構成する諮問委員会、労働組合の意見を反映させるために組織されている。
TUCP(Trade Union Congress of the Philippinesの略=フィリピン労働組合会議)
フィリピンの労働組合中央団体の1つ。日本で言えば連合にあたり、フィリピンにおけるICFTU(国際自由労連)の加盟組織である。組織人員は100万人程度といわれている。会長はデモクラト・メンドーサ氏で、彼はPSU(フィリピン船員組合)及びALU(合同労組)の会長でもある。PSUはTUCPの下部組織ALUに所属しており、1993年に発足、組合員数は約1万人で、AMOSUPとは対立関係にある。

U

ULCC(Ultra Large Crude Carrierの略)
30万重量トン以上の超大型原油輸送船の俗称。
UNCTAD(United Nations Conference on Trade And Developmentの略=国連貿易開発会議)
IMF、ガットの枠内で自由無差別主義をすすめる国際分業体制に不満をもつ南の国々のイニシアチブにより、南北問題を検討し、貿易と経済開発に関して南北交渉を行うべく、1964年に設立された。執行機関は貿易開発理事会(TDB)で年2回開催される。TDBの下に7つの常設委員会(1次産品、製品、特恵、サービス・貿易金融、海運、技術移転、発展途上国間経済協力)が設けられている。船舶の登録用に関する条約、定期船同盟行動憲章条約などが海運に関する条約である。

V

VLCC(Very Large Crude Carrierの略
20万重量トンから30万重量トンの大型原油輸送船の俗称。

W

WCPFC(Western Central Pacific Fisheries Convention の略=中西部太平洋マグロ類条約)
条約の発効要件は、13カ国が批准に達した6カ月後に条約発効となっており、キリバス、フィジー、ミクロネシア、パプアニューギニア、サモア、ニュージーランド、オーストラリア、クック諸島、ニウエ、マーシャル、トンガ、ナウル、ソロモンが加盟し13カ国に達したため、2004(平成16)年6月19日に発効した(かつては通称MHLC条約と呼ばれていた)。
これにより、全世界の海域が地域漁業管理下におかれることになった。わが国は2005年(平成17年)7月に同条約に加入した。
また、中西部太平洋では大型まき網漁船による漁獲が急速に拡大していることから、その漁獲能力の増大を抑制するため、外国籍によるまき網漁船の建造の制限等を含む決議が準備会合において採択された。
WTO(World Trade Organization の略=世界貿易機関)
世界貿易のルールや国際紛争の処理を担う国際機関。協定にすぎなかったGATT(関税貿易一般協定)の機能をより強化するものとして、1995年に設立された。モノだけでなくサービスや知的財産権なども含め、広範囲における国際貿易を対象とする。
W/O(C/O)
1等航海士であって、機関当直3級海技士(機関)以上の資格を有する者。
W/O(C/R)
通信長であって、船橋当直3級海技士(航海または機関)以上の資格を有する者。
W/O(DE)
原職が航海士であるW/O。
W/O(ED)
原職が機関士であるW/O。
W/O(I/E)
1等機関士であって、船橋当直3級海技士(航海)以上の資格を有する者。
W/O(RD)
原職が通信長・通信士である船橋当直3級海技士(航海)以上の資格を有する者。
W/O(RDE)
原職が通信長・通信士であるW/O。
W/O(RE)
原職が通信長・通信士である機関当直3級海技士(機関)以上の資格を有する者。
W/O(Watch Officer の略=ワッチオフィサー)
運航士の英文名の略号で、単にW/Oと表現するときは運航士(3号職務)を表すなど、船員制度近代化委員会の職務記号。
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