船員ってどんなお仕事?

船員ってどんなお仕事?

船には、どんな仕事があるのだろうか。
東京~八丈島を結ぶ東海汽船の「さるびあ丸」に乗って、実際に働いている人の仕事ぶりを見てみよう!

【一等航海士(チーフオフィサー)】 佐々木 隆幸さん

仕事風景

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Q.どんな仕事をされているんですか?

チーフオフィサーとしての仕事は、船長、機関部、事務部と連絡を取り合うこと。甲板部の一員としての仕事は、船の運行が主で、具体的には舵を取ることです。もっとも気を使う入出港の際は、船長、機関部の当直者とともに艦橋(ブリッジ)に立ち、船長の指示の下、舵を取ります。コンピュータ制御で外洋を航行するときも、常に2名の当直者が艦橋(ブリッジ)に詰め、レーダーや目視で安全運航に努めます。

このほか甲板部では、「デリック」というクレーンを操作しての貨物の積み下ろし、甲板などの修理やメンテナンスも行います。「さるびあ丸」は常に運行しており、ドックに入るのは年1回。大掛かりにペンキを塗り直せるのも年に1度です。だから航行中も空き時間を見つけては、まめにサビを落としたり、ペンキを塗ったり。幅広い仕事をしていますね。

Q.仕事で、ヤリガイを感じる瞬間は、どんなときですか?

お客様を、安全に目的地へ運べたときでしょうか。当たり前といえば、当たり前ですが、海はおだやかなときばかりでない。時化るときもある。そんなときも、定期船だから、時間に合わせるよう努力しなければなりません。荒天の海域を迂回しても、到着時間には間に合わせる。しかし、急ぐからといって、船を大きく揺らすような運航はしたくない。揺れが大きいと、お客さまを船酔いさせてしまうし、コンテナが荷崩れすることもありますからね。

そうした諸条件を頭に入れ、どんな針路をとるか。そういうことを総合的に考えていくのです。
例えば、風が南から吹いているとしましょう。波は東から来ている。この風に対し、真正面から向かわず、波の力を受けられるよう、予定航路に対してわずかに斜行する。そして目的港が近づいてきたら航路に戻す。こうすれば、揺れを抑えられ、燃料も食わず、長い距離をスムーズに進める。眠っているお客さんが、目が覚めたら港に着いている。そんな航海ができたら最高ですね。そんなことができるのは、実際、わたしたちだけだし、やりがいを感じます。

Q.天気は調べるのですか?

はい、調べます。出航前はもちろん天気予報を確認し、海の状態を予想しておきますが、航海中も携帯電話の情報サービスを利用し、まめに調べています。実際の天気の変化が、予報より数時間前に起こったり、遅れたりすることはよくありますよね。わたしたちは、まさに入出港のときの天気を知りたいわけですから、そのとき風が吹くのかどうかというピンポイントの情報が重要なんです。いまは晴れていて、1時間後に吹くと分かると、そのタイミングに着岸してしまう、というようなこともあります。

Q.デリックの操作をするとき、どんなことに気を付けているんですか?

デリックを操作するデリックマンと、クレーンの下でワイヤを掛けたり外したりする仲間の息を合わせることです。これが合わないと、危ない。下で作業する人は、デリックの動きを予想し、逃げる。それなのに、「来る、来る」と思っているデリックが振れて来ない。タイミング悪くデリックを下ろすと、下の人はワイヤーをよけきれず、ぶつかってしまいます。太い金属製ですから、大変なことになります。

デリックマンが、どういう意図で操作しているか。下から見上げて確かめる。互いに要所要所でアイコンタクトを取る。上と下で息を合わせることが大切ですね。

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