現場船員さんの声

【機関長(チーフエンジニア)】 梅木 智尚さん

Q.ヒヤリとした経験、ハッとした経験はありますか?

あります。別の船に乗っていたとき、何度か事故を経験しました。こうした経験で学んだことは、ふだんから慎重かつ大胆に機械を動かすこと。慎重ばかりでは、いざというときエンジンの出力を維持できないからです。ふだんから慎重に整備しておれば、危険回避や脱出などで、いざというとき大胆に運転できますから。

人間の運動能力もそうですが、機械も、大胆に限界に挑戦してみると、どこまでなら可能かという限界値が分かります。機関士としてのキャリアは、この限界値を読む力を磨いてきたものともいえますね。

常にシミュレーションしています。「機械Aがダメです」という報告が来たら、「じゃあ、機関Bの出力を上げろ」、さらに「Bも出力が上がりません」という報告が来たら、「じゃあ、機関Cの運転を始めろ」。そんなふうに指示できるよう、常にあらゆる場合を想定し、対策を考えています。

Q.仕事で大変なことは何ですか?

想定していた以上のトラブルが起こったとき。ただ、経験を積めば積むほど、想定以上の事態はなくなっています。最近はすべて想定の範囲内です。

Q.仕事の醍醐味は何でしょうか?

街を走るクルマのように、信号や一方通行といったものに邪魔されない。制限されることなく、船を走らせることができるのが醍醐味ですね。もちろん、船の行き来にもルールはありますが、クルマのように道だけを行くことはない。いかようにも航路を取れます。荒天になったら、その雲をかわして行くなど、自分たちの判断でやっていく。そういうところがいいですね。

もちろん船の運航は、最終的に船長が判断します。荒天を迂回する。それだけ航行距離が増えるわけですから、燃料も食う。船長から「燃料は足りるか」とか、「速力を維持できるか」といったことを尋ねられますが、専門の立場から船長に意見を述べるんです。

Q.お休みのときは何をしていますか?

1週間の連続勤務で、3~4日の休みという勤務スタイルです。冬は、家族でスキーに行ったりしています。月に1~2回は、土日に休みが当たりますから、学校に行っている子どもとも一緒に遊びに行けますね。

春休みや夏休みは、行楽地が混みあうときを外して遊びに行けるのもいいですね。数年に1回ですが、1カ月連続して休める有給休暇もある。そんなときは集中して旅行に行ったりしています。

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