第50回戦没・殉職船員追悼式
5月24日 神奈川県立観音崎公園
天皇皇后両陛下がご臨席、ご供花・祈りを捧げる
松浦満晴組合長が天皇皇后両陛下をお出迎え
爽やかな晴天に恵まれた6月10日の11時から、神奈川県横須賀市の観音崎公園内の「戦没船員の碑」前で、日本殉職船員顕彰会主催の第50回戦没・殉職船員追悼式がしめやかに執り行われた。今回の追悼式は、昭和46年5月6日に開催された第一回追悼式から50回目の節目の式典で、元号が令和となってから初めて天皇皇后両陛下もご臨席された。開式30分前の午前10時30分には、会場が遺族や海事関係者など参列者で埋まり、本組合からは松浦満晴組合長をはじめ執行部が、また全国海友婦人会から酒井智代子会長と石渡ゆみ子さん、安田正代さんが参列し、海で戦没・殉職した船員の鎮魂と海の平和を祈った。
午前11時の開式前に、天皇皇后両陛下が会場に到着すると、海上自衛隊横須賀音楽隊による前奏で会場が安らかな音色で包まれる中、公益財団法人日本殉職船員顕彰会の武藤光一会長が天皇皇后両陛下を御先導し、松浦満晴組合長はじめ、主要海事関係団体の代表がお出迎えした。
天皇皇后両陛下のご着席後、予定とおりに追悼式が始められ、日本殉職船員顕彰会の岡本永興常務理事の進行で、国歌斉唱に続き、「安らかにねむれ わが友よ 波静かなれ とこしえに」と刻まれた碑文石の前で、参列者全員が1分間の黙とうを捧げた。
続いて、日本殉職船員顕彰会の武藤会長による式辞の後、天皇陛下が「第50回戦没・殉職船員追悼式に臨み、先の大戦において海上輸送などの業務に従事し、志半ばで船と運命を共にすることとなった数多くの船員と、戦後、職務の遂行中に殉職した船員の御霊に、深く哀悼の意を表します。
かけがえのない家族の尊い命を海に失われた遺族の皆さんの悲しみと長年にわたる御苦労は、いかばかりであったかと思います。
先の大戦の記憶が薄れようとしている今日(こんにち)、我が国の平和と繁栄が、戦没・殉職船員を始めとする多くの人々の尊い犠牲の上に、国民のたゆみない努力によって築き上げられてきたものであることを、決して忘れてはならないと思います。そして、戦後の我が国の発展に、海運や水産業に携わる船員の果たした役割にも、誠に大きなものがありました。
これまで多くの困難を克服してこられた遺族の皆さんが、体を大切にされ、深い悲しみを乗り越えながら、日々を健やかに過ごしていかれるよう切に願っております。
終わりに、皆さんと共に、御霊の安らかならんことを祈るとともに、改めて人の命の尊さに思いを致し、平和な世界と安全な海の実現を心から願い、追悼式に寄せる言葉といたします」と、お言葉を述べられた。
また、岸田文雄内閣総理大臣の追悼の辞が代読された後、「鎮魂曲」の奏楽の中、天皇皇后両陛下のご供花、武藤会長の献花、遺族代表の献花と続き、各代表献花では本組合から松浦組合長が戦没・殉職船員へ献花、祈りを捧げた。
追悼式典では、代表献花の後に能楽「海霊」が両陛下の御前で奉納され、続いて会場の参列者全員が白菊を献花し追悼式は終了した。