―石巻・ホエールタウンおしか―
震災からの復興のシンボルとして活躍
第16利丸は昭和33年に、大洋漁業株式会社の最新鋭の大型高速捕鯨船として建造され、捕鯨船団の指揮船として活躍し、捕鯨船乗りの憧れのキャッチャーボートだった。母船式捕鯨を退いた後、最後は鮎川を拠点としていた日本捕鯨株式会社の所属船となり、昭和62年12月25日の金華山沖操業を最後に30年間続いた現役を退いた。
その後、捕鯨基地・鮎川に陸上保存され、平成2年に「おしかホエールランド」の陸上展示船となったが、平成23年3月11日の東日本大震災で高さ8.6mの大津波に襲われ、海岸部にあった建物のほぼ全てが破壊された中で、唯一その勇姿を保ち続け、復興に向けたシンボルとして人々の心の支えになってきた
10年8カ月ぶりに展示再開
震災の津波被害で流失を免れた第16利丸は、周辺をかさ上げし広場を整備、船体の塗装や修繕を終え、昨年の11月18日、10年8カ月ぶりに「乗船できる捕鯨船」として展示が再開され、捕鯨基地・鮎川のシンボルとして復活した。第16利丸では船橋や捕鯨砲なども見学できる。
ホエールタウンおしか
牡鹿半島の先端に位置する鮎川浜にできた新しい観光拠点。3つの施設が連ねっており、「観光物産交流施設Cottu」は、牡鹿半島の新鮮な海鮮料理を楽しめる飲食店やお土産を販売する店のほか、石巻~田代島~網地島~鮎川港を結ぶ「網地島ライン」の発着所になっている。2つ目の「牡鹿半島ビジターセンター」は、三陸復興国立公園・牡鹿半島エリアの自然環境や季節ごとの見どころを紹介する施設。3つ目の「おしかホエールランド」では、鯨の生態や特徴、捕鯨の町として栄えてきた牡鹿半島の鯨文化を学ぶことができる。また、骨格標本や映像展示のほか、実際に使用された貴重な捕鯨道具も展示している。

展示船・第16利丸

網地島ラインの石巻発着所に着桟するマーメイドⅡ・向こう側に石ノ森萬画館が見える