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2023年06月15日

戦没・殉職船員へ鎮魂の祈り

第50回戦没・殉職船員追悼式
5月24日 神奈川県立観音崎公園

天皇皇后両陛下がご臨席、ご供花・祈りを捧げる
松浦満晴組合長が天皇皇后両陛下をお出迎え

爽やかな晴天に恵まれた6月10日の11時から、神奈川県横須賀市の観音崎公園内の「戦没船員の碑」前で、日本殉職船員顕彰会主催の第50回戦没・殉職船員追悼式がしめやかに執り行われた。今回の追悼式は、昭和46年5月6日に開催された第一回追悼式から50回目の節目の式典で、元号が令和となってから初めて天皇皇后両陛下もご臨席された。開式30分前の午前10時30分には、会場が遺族や海事関係者など参列者で埋まり、本組合からは松浦満晴組合長をはじめ執行部が、また全国海友婦人会から酒井智代子会長と石渡ゆみ子さん、安田正代さんが参列し、海で戦没・殉職した船員の鎮魂と海の平和を祈った。
午前11時の開式前に、天皇皇后両陛下が会場に到着すると、海上自衛隊横須賀音楽隊による前奏で会場が安らかな音色で包まれる中、公益財団法人日本殉職船員顕彰会の武藤光一会長が天皇皇后両陛下を御先導し、松浦満晴組合長はじめ、主要海事関係団体の代表がお出迎えした。
天皇皇后両陛下のご着席後、予定とおりに追悼式が始められ、日本殉職船員顕彰会の岡本永興常務理事の進行で、国歌斉唱に続き、「安らかにねむれ わが友よ 波静かなれ とこしえに」と刻まれた碑文石の前で、参列者全員が1分間の黙とうを捧げた。
続いて、日本殉職船員顕彰会の武藤会長による式辞の後、天皇陛下が「第50回戦没・殉職船員追悼式に臨み、先の大戦において海上輸送などの業務に従事し、志半ばで船と運命を共にすることとなった数多くの船員と、戦後、職務の遂行中に殉職した船員の御霊に、深く哀悼の意を表します。
かけがえのない家族の尊い命を海に失われた遺族の皆さんの悲しみと長年にわたる御苦労は、いかばかりであったかと思います。
先の大戦の記憶が薄れようとしている今日(こんにち)、我が国の平和と繁栄が、戦没・殉職船員を始めとする多くの人々の尊い犠牲の上に、国民のたゆみない努力によって築き上げられてきたものであることを、決して忘れてはならないと思います。そして、戦後の我が国の発展に、海運や水産業に携わる船員の果たした役割にも、誠に大きなものがありました。

これまで多くの困難を克服してこられた遺族の皆さんが、体を大切にされ、深い悲しみを乗り越えながら、日々を健やかに過ごしていかれるよう切に願っております。
終わりに、皆さんと共に、御霊の安らかならんことを祈るとともに、改めて人の命の尊さに思いを致し、平和な世界と安全な海の実現を心から願い、追悼式に寄せる言葉といたします」と、お言葉を述べられた。
また、岸田文雄内閣総理大臣の追悼の辞が代読された後、「鎮魂曲」の奏楽の中、天皇皇后両陛下のご供花、武藤会長の献花、遺族代表の献花と続き、各代表献花では本組合から松浦組合長が戦没・殉職船員へ献花、祈りを捧げた。
追悼式典では、代表献花の後に能楽「海霊」が両陛下の御前で奉納され、続いて会場の参列者全員が白菊を献花し追悼式は終了した。

 

2023年06月15日

堂ヶ島マリン株式会社 「地位確認等請求事件」勝訴!

陸上勤務に専従する義務はなし!
未払い賃金および損害賠償支払いを命令!

静岡地裁沼津支部、会社の不法行為を認定

堂ヶ島マリン㈱は新型コロナウイルスの影響を理由に事業休止を決定したとして、令和2年5月末付で組合員13名全員の雇用契約を解除した。ところが会社は、退職した組合員のうち6名に、組合に連絡することなく再採用を打診し、組合脱退を強要するばかりか、組合員であることを表明した船員に対し陸上勤務への配転を命じるなど、支配介入を繰り返していた。
組合は、直ちに団体交渉開催の申し入れを行ったものの、会社はこれに応じることなく、労使確認を反故にするなど不当労働行為を行ってきた。
このような状況を踏まえ、組合員の船員としての地位保全を最優先として、静岡地方裁判所沼津支部に対し、「地位確認等請求事件」として提訴し、会社の不法行為を訴えた。
その結果、令和5年5月31日、静岡地方裁判所沼津支部は本件について、会社の配転命令権の濫用は違法であること、会社は組合員に対し未払い賃金および損害賠償を支払えとの判決を下した。

これまでの経緯

本件の始まりは、令和2年、新型コロナウイルスの全国的な感染拡大により緊急事態宣言が発令されている状況下、堂ヶ島マリン㈱より地元自治体からの観光業営業自粛要請による経営環境悪化を理由に、遊覧船事業を長期間休止せざるを得ないとして、事業休止に関する協議申し入れを受けた。
労働債権の確認など協議の結果、事業再開の際には組合と協議することを前提とし、令和2年5月末付で組合員13名全員の雇用契約を解除した。
ところが会社は、退職した組合員のうち6名を組合に連絡することなく呼び出し、再採用を打診し、組合を脱退するよう強要した。更に組合員であることを表明した船員に対しては、陸上勤務への配置転換により労働諸条件の引き下げを行うなど支配介入を繰り返したうえ、令和2年7月より運航を再開した。
また会社は、組合からの団体交渉開催の求めに対し、新型コロナウイルスや業務などを理由に交渉開催に応じようとせず、事業を再開する際の労使確認を一方的に反故にするなど不誠実な対応を続けるとともに、組合員に対し嫌がらせともいえる悪質な行為を行ってきた。
これら会社の極めて許し難い行為に対し組合は、抗議行動を実施するとともに組合員の海上復帰および待遇改善に向け団体交渉開催を求めたものの、代表取締役社長は出席することなく社外代理人が交渉の席に着くなど、会社は極めて不誠実な対応を継続した。

裁判所への申し立て

このような状況を踏まえ組合は、組合員の海上勤務者としての地位保全を最優先と考え、令和3年4月15日付で静岡地方裁判所沼津支部へ提訴した。
令和3年7月7日の第1回期日を皮切りに、令和5年2月22日の第12回期日の結審まで、1年半以上に亘り組合員を海上職へ職場復帰させることを第一義に、組合員へ対する脱退勧奨・退職勧奨など、会社の数々の不当労働行為を訴え続けた。

会社主張を退け、不法行為を認定

その結果、令和5年5月31日、静岡地方裁判所沼津支部において判決が言い渡され、裁判所は、会社から組合員を排除することを目的に陸上勤務へ配転させたとして、会社の職種変更命令は配転命令権を濫用したものであり違法であり無効であること、それにより船長として組合員に支払われるべき手当の請求には理由があること、会社が組合員を再雇用された船員らの中でただ一人望まない業務に就かせたことで、相当な精神的苦痛を被ったことを認めた。判決内容は次のとおり。

判決内容
▽組合員が、陸上勤務に専従する労働契約上の義務はないことを確認する。
▽会社は、組合員に対し、未払い賃金(乗務手当)を令和2年8月分から退職の日まで毎月支払え。
▽会社は、組合員に対し、損害賠償金を支払え。

また、再雇用者に対する脱退勧奨は支配介入に該当すると判断した。
今後、組合は可及的速やかに団体交渉を開催し、同裁判所の判決を踏まえ組合員の海上復帰に向け、引き続き全力で取り組んでいく。

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