船員を目指す?

【一等航海士(チーフオフィサー)】 佐々木 隆幸さん

Q.船の仕事をしようと思ったキッカケは何ですか?

三宅島出身で、子どものころから船を見ていて、憧れていました。祖父の漁を手伝うなど、船に乗る機会も多かった。ただ、小さなころは「将来、船の仕事をしたい」とは思わなかった。絵を描いたり、プラモデルを作ったり。あくまで沖を行く姿を眺める対象にすぎなかったんです。

ところが中学生になり、将来の仕事を考えるなかで、船と関わる仕事ができればいいなと思うようになりました。それで、広島商船高等専門学校に進学したんです。

Q.学生時代には、どのような思い出がありますか?

学校は5年制。男子ばかりの寮生活で、なかなか楽しかったですよ。5年次に情報工学科ができて、女子学生が入ってきたときは、とても盛り上がりましたね。

海王丸での航海実習も思い出深い。風は強い北風。針路に向かって船を進めると、これをまともに受けてすごく揺れた。ほとんどの実習生が乗船初日から船酔いし、トイレに列を成しましたから。それもこれも、懐かしい思い出です。

Q.船員になるのに、向き・不向きはあるでしょうか?

向いている人は、ポジティブ思考の人です。いくら強く叱られても、次の瞬間にはケロッとしているような人がいいですね。大きな船とはいえ、限られた世界だし人間関係も限定的だから、ストレスをため込むと発散できない。

最初は誰もが失敗します。危険も伴う仕事だからこそ、先輩は厳しく言うんです。叱られて当たり前。叱られるたびにいちいち落ち込んでいたら、きりがない。先輩も落ち込んでいる姿が気になって仕方ないでしょ。失敗したら、素直に謝って、反省すれば、それでいいんです。先輩も怒鳴ったことなんて、すぐ忘れていますから。後は引きません。

だからわたしは、叱られてシュンとなっている若い人を見ると、「そんなに落ち込まなくていいよ」と言ってやるよう心掛けています。

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