組合は、海上における陸上との通信格差(いわゆる「デジタルディバイド」)の解消を図るためのインフラ整備などを推し進めるため、関係省庁などに対する申し入れや、関係団体・議員と連携し、活動を展開している。
こうした中、平成26年2月26日、衆議院予算委員会第二分科会(総務省所管事項についての審査を行う分科会)が開催され、その中で関係議員(伊藤渉議員)から「日本人船員確保や、救急救命・災害対策などの観点からも海事行政を所管する国交省と情報通信行政を所管する総務省が連携し、海上デジタルディバイドの解消に取り組んでいただきたい」と要請した。
これに対し、藤川政人総務大臣政務官は「船上における生活環境の充実は後継者確保育成に不可欠であり、デジタルディバイドの解消は重要であると認識している。国交省などの関係省庁とも連携し、同問題の解消に向けた取り組みを進めていきたい」と答弁した。
質疑の詳細は次の通り。
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▽伊藤渉分科員
日本は四方を海に囲まれ、輸出入貨物のトン数ベースで99・7%を外航海運が担っている。
この輸送の基盤である、日本籍船、日本人船員は、わが国の管轄権、保護の対象であり、経済安全保障の観点から、平時より一定規模を確保することが必要である。
例えば、東日本大震災の際も、日本商船隊でありながら外国籍船であるために、事故などの影響を受けて、わが国の管轄権が及ばずに日本への寄港が拒絶されたケースもあると承知をしている。
こうした状況を受け、平成19年の交通政策審議会で、いわゆる一定規模の国民生活、経済活動水準を確保するために必要な日本籍船、日本人船員を試算している。
さまざまな施策に取り組んでいただいて、少しずつ状況は改善していただいているが、船で働く方々の環境の改善として、現場から要望があることの一つが、デジタルディバイドの解消である。
例えば、救急救命という観点から、海上における傷病者の救急救命処置には、画像の伝送が可能となる無線医療の高度化が必要である。また、118番の実効性を高めるため、海上通話エリアの拡充も必要である。災害対策の観点からも、津波災害時の船舶の避難の判断に資するため、インターネット回線を利用する海上保安庁の緊急情報配信サービスやスマートテレビによる情報収集ができれば、よりよいわけである。
海事行政を所管するのが国交省であり、これと連携をして情報通信行政を所管するのが総務省である。制約された予算の中での対応なので、知恵が必要である。是非とも、知恵をお借りし、現状の把握、問題の解決に向けて検討を進めていきたいと思うが、藤川大臣政務官に前向きな答弁をよろしくお願いしたい。
▽藤川大臣政務官
総務省では、海上でのデジタルディバイド解消の重要性に鑑み、新たな無線システム導入のための制度などの取り組みを進めている。
海上における安全、安心の確保や、船上での生活環境の充実が、船員の後継者確保・育成に不可欠であり、デジタルディバイドの解消が必要不可欠な重要なことと認識している。
災害時の船舶や沿岸での被災者の通信を確保するためには、携帯電話基地局を船上に開設することも考えられるが、現在、アンテナ開発などの技術的課題や実用化に向けた課題の洗い出しを行っている。
さらに、海上ブロードバンド利用推進のためには、警察などが陸上で利用している画像伝送システムを海上で利用することも有効だが、総務省としては、この実現に向けた技術的検討を実施するとともに、インマルサットシステムによる衛星通信の高速化に向けた制度整備を進めている。
以上のように、総務省として、国交省などの関係府省と連携し、海上デジタルディバイドの解消を目的とした新たな無線システム導入のための制度などの取り組みを進めていくこととしている。ご指導をよろしくお願いしたい。

2月26日の衆院予算委員会第二分科会で質疑に立つ伊藤渉衆議院議員